PIERO-GUIDIのソフトトランクケースの大きなバッグです。
名前や住所などを刻印したプレートがバッグ購入後に送られてきて、
そのプレートを持ち主がバッグの中央に取り付けるシステムで人気でした。
このバッグは1997年と刻印されていましたが懐かしいバッグです。
シンプルで丈夫な持ち手と付け根革です。
持ち手は外側に金具があり、付け根革は内側に金属が入れられています。
持ち手や付け根革は丈夫ですがバッグを持ち上げると、
左側だけ本体の天部が浮き上がってきます。
付け根革を固定している2本のビスも、しっかりと固定されている様子ですが・・・・?
カブセを解体してみると天部前面に樹脂製の板が芯材として入れられています。
芯材中央のガムテープを見た瞬間に修理歴があることがわかります。
今回の修理とは関係ありませんが内側のスポンジは粉状に劣化しています。
ガムテープを剥がしてみると樹脂板は楕円形に穴が空くように割れていました。
付け根革と板芯を固定するようにビス止めされる構造のようですが、
板芯が割れたのでバッグの天部が浮き上がっていたようです。
でも、大きなバッグを樹脂板で支える構造は付け根革や持ち手の構造と釣り合いません。
カブセの内側から劣化したスポンジの粉まみれになった鉄芯が出てきました。
前回、修理された時に鉄芯を取り外したままカブセの中に置き忘れていたようです。
樹脂製の板を鉄芯で挟み込むようにビスを固定しましたので、
安心して使用できる状態に復活です。
左側の付け根の加工だけの予定でしたが、
鉄芯を入れるために反対側の付け根革部も解体して加工が必要でした。
バッグの内側の構造は一般的には見ることのできない部分ですが、
外観のデザインや素材だけでなく内側の構造はとても大事です。
天部の浮き上がりに違和感を感じずに使用を続けていれば、
外面の革が破れて重症化していたと思います。
両側の付け根革ともしっかりと固定しておきましたので、
安心してご使用ください。
by レザークリエーション http://www.brand-repair.com 「大切なブランドバッグ」で検索