オイル(脂分)をコードバン革に浸透させた素材で作成された財布なんですが、
すでに革からはオイル分が抜けて革が乾燥している状態です。
周囲の状態から擦り切れて欠損したのではなく革が乾燥して、
サクサク状態になっていることが要因の一つだと思われます。
縫製糸の絞まりで革が切れてしまいステッチが見えない部分があります。
革の乾燥が激しいために縫製糸で革が切れてしまった症状ですね。
ステッチはホツレていませんので革の中でつながっています。
内部材の厚みが変わる部分ですので慎重に縫製する部分ですが、
生産時の縫製に問題があったようで縫い幅が極端に狭くなっています。
このようなステッチでは革の乾燥に関係なく針穴で切断されたようなものです。
札入れの仕切りとカードポケットの2段目は革が欠損しています。
革の乾燥で亀裂や欠損が各部に見られますので、
各パーツに強化加工して丈夫にするリニューアルリペア加工を施します。
合成皮革素材はベタ付き劣化の心配がありますので本革で作成し組み立てます。
合成皮革部材は本革仕様になり、リニューアルリペア加工の完了です。
折り曲げ部の欠損は復元強化加工で再生しながら強度アップしています。
反対側の折り曲げ部も強化して外周はコバ仕上げ直しでスッキリです。
ポケットの欠損部も復元しながら各パーツには強化加工を施しています。
使い込んだ風合いを楽しむ財布ですので、あえて補色加工はせずに仕上げました。
化粧加工していませんので見た目に大きな変化は感じませんが、
財布を手にするだけで強度アップしていることがわかると思います。
小銭入れのマチだけでなく、カブセの折り曲げ部などまで強化していますので、
構造的には新品時より頑丈になっています。
しかし、乾燥した革には保湿クリームなどでメンテナンスしながら、
少しでも良い状態に改善させて活用されることをお勧めします。
大切に長くご愛用ください。
by レザークリエーション http://www.brand-repair.com 「大切なブランドバッグ」で検索
(お手紙紹介です)
有限会社レザークリエーション 担当者様
本日、財布の方が届きました。
10年使ってボロボロでしたが、復元強化の名前通り
持ってすぐに前よりがっしりとしてるのが分かる仕上がりで、
お願いして良かったです。
ブログも拝見しました。
御指摘された通り、10年ほぼノーメンテナンスでしたので、
次の10年は定期的にケアしながら大切に使わせていただきます。
10年後、
まだ買い替えたい財布が見つかってなかった時はよろしくお願いします。
ありがとうございました。
広島県 S 様