ルイヴィトンのパイロットケース(タイガのウラル)です。
大きく重いバッグですが丈夫な構造ですので、
ビジネスの道具として活用するには便利でカッコいい鞄です。
底角など各部に擦れが見られます。
同様に。。。。
ロック金具も使い込んだ雰囲気ですが動作に問題はありません。
この辺りは革の表皮が剥がれています。
重い鞄ですので擦れたりぶつけたりすると外周などは重症化しやすいです。
丁寧に取り扱う事が最善のメンテナンスですので、
今回は見た目を整える加工は施さずに、
構造面の加工を中心に加工します。
開閉の度に負担が掛かるカブセの折り曲げ部には亀裂が発生しています。
これ以上、裂けてこないように強化加工を施します。
重いバッグを支える持ち手の付け根革も強化加工が必要です。
付け根革の強化は本体の解体が必要になります。
内側部材には合成皮革素材が使用されています。
経年劣化が見られますので内側部材を本革で作成交換します。
複雑な構造で大きなバッグですのでパーツ点数が多いです。
解体するだけでも一苦労です。
特殊な構造のカブセ。
解体すると、こんな感じ。
強化芯材を入れ込んで組み立て直します。
「芯材や連結部の革も一部解体して新たに入れる強化芯材と縫製します。」
・・・どういう事かわからないかもしれないけど強化加工ではこの手間が重要。
カブセ裏にあるペンケースも解体して合成皮革は本革仕様に。
持ち手は本体から外れますし独立したパーツですので、
限界まで使用してからの修理対応も可能ですが、
今回は同時に強化加工を承りました。
付け根革は縫製だけでなく3本のビスで固定されています。
構造的に外周の縫製糸に負担が掛かっていますし、
革が切れてしまうとビスで固定されていても意味はないのですが・・・・
カブセの中の鉄芯を固定するには有効な構造ですね。
付け根革も解体して強化します。
持ち手も解体して強化芯材を入れ込んで組み立て直します。
今回、使用する革。
パーツ点数が多く大きなバッグですので革が3枚必要。
ほどいたミシン目を一目づつ縫製し直します。
バラバラに解体するのも一苦労のウラルですが組み立て直すのは、
もっと苦労します。
解体したバッグは新品のバッグを組み立て直すよりも難しく、
時間も手間もかかります。
ウラルの解体加工は受付を停止する予定です。
持ち手の強化加工の完了です。
コバ面の仕上げ直しだけでなく、少し見た目も改善させてしまいました。
負担が掛かる持ち手の両側付け根は新品時より丈夫です。
変形していた中央部も補正しておきました。
重たすぎるバッグですので構造的に変形は避けられませんが、
強度アップで切れてしまう心配は無くなっています。
本体に取り付け完了。
持ち手と付け根革を連結する金具の脱着もノウハウがなければ破損します。
何をするにも一筋縄ではいかないバッグです。
付け根革の亀裂も目立たなくなり格段に強度アップさせています。
合計6か所のマチ底も強化加工を施して組み立てています。
カブセの付け根も強化加工してコバ面も仕上げ直しました。
ベロ革やカブセもコバ面を仕上げ直すことでスッキリ見えます。
このバッグから劣化しやすい合成皮革素材はなくなり、
本革仕様で復活です。
構造面を改善する加工でしたが本体も重く容量も大きいので、
ビジネス道具のメンテナンスとしては最良の修理内容だと考えます。
丁寧に取り扱えば長く活躍してくれる良いバッグですので、
大切にご愛用ください。
by レザークリエーション http://www.brand-repair.com 「大切なブランドバッグ」で検索
(お手紙紹介です)
レザークリエーションご担当者さま
今回大変お世話になりました。
いつかいつかと待ち遠しかったウラルの修理ですが、
ようやく手元に帰ってきました!
大満足です。
ブログも拝見しましたが、大変な工程なんですね。
おかげさまで、まだまだビジネスの現場で戦えます!
大切に使わせて頂きます。
本当にありがとうございました!
ウラルに代わるカバンと巡り会うまで使い続けたいと思います。
東京都 O 様
お受け取りのご連絡ありがとうございます。
ウラルは丁寧に取り扱えば長く愛用できる良い品です。
ウラルに変わるバッグを見つけ出すのは困難ですので、
出来る限り良い状態を保ちながら、
長くご愛用ください。