各部に損傷が見られるエルメスの長財布(ベアン)です。
折り曲げ部やベロ革を縫い直した修理歴があることは明らかですが、
全体的にエルメスオレンジとは言えない色合いで塗装歴もあると考えていますが、
ご依頼者からは塗装したことはないとのこと・・・・
ベロ革はスレスレでボロボロでも縫い直しているので形状は保っています。
擦り切れた付け根のループ革で隠れていた部分は何故かエルメスオレンジです。
折り曲げ部も表皮が剥がれて革の繊維が露出しています。
残念な縫製ではありますがホツレは縫い直されていてます。
反対側の折り曲げ部も同様に。。。。
全体的に汚れや擦れで素材が劣化していて重症。
塗料の下から浮き出たような傷や汚れが全体に見られ不思議な状態。
内部材もエルメスオレンジとは少し違う色で擦れや汚れが各部にあります。
外面よりは傷みにくい内部材なんですが・・・・
同様に。。。。
コメントを書きにくい内部材の状態です。
小銭入れの汚れは避けることができない損傷です。
小銭入れの中はエルメスオレンジです。
外面の角部は擦り切れて無くなっていますので縫い直すことも不可能。
全体を解体して使用できる状態にリニューアルリペア加工を施します。
この赤い塗料はなんでしょう?
・・・・推測すらできません。
ポケット上部は外面と同色ですがポケットの中はエルメスオレンジ。
ボールペン汚れが塗料の下から浮き出ています。
塗装歴の疑いが深まる一方ですが、まずは解体。
ベロ革を解体して芯材を取り除いたところです。
エルメスオレンジのままの部分と比較すると別色であることがわかります。
汚れや色あせが原因でしょうか?
取り除いた外周の糸も飛び飛びで別色です。
ベロ革を取り除いた部分はエルメスオレンジ。
H金具にも塗料が残っていますので一枚革の状態で塗装されたのではなく、
財布の形になってから塗装されたことが確実です。
縫製糸や金具まで塗料が付着していることで塗装修理歴は確定です。
表面の塗料を半分だけ取り除くとエルメスらしいオレンジが出てきました。
同様に。。。。
ベロ革も表面だけ塗料を取り除くと裏面とは別色になり、
内部材と同様のエルメスオレンジが出てきました。
これだけ色が変わると塗装したことに気が付くと思いますが、
意外と気が付かないものなんでしょうか?
汚れも取り除かずに違う色で塗装した手抜き加工なので、
持ち主には塗装していないと伝えていたのか?
当社としては疑問点が多い現状です。
他店様での残念な縫製や塗装歴があり余計な加工が必要でしたが、
出来る限り汚れを取り除いて、ようやくリニューアルリペア加工をスタートできます。
汚れや塗装を取り除くとキズや汚れや素材の劣化などで重症すぎる財布です。
引き続き愛用いただけるように各部を強化しながら組み立て直します。
各部を強化しながら組み立て直しリニューアルリペア加工の完了です。
コインケースの中も綺麗に復活。
ベロ革など各部に強化加工を施して丈夫に復活させています。
欠損した角部や擦り切れが見られたベロ革や折り曲げ部なども、
強化加工を施して組み立てコバ面も仕上げ直しています。
その他、多数の損傷や汚れも改善して引き続き愛用いただける状態に復活です。
構造的には新品時より丈夫になっていますし見た目も改善していますが、
他店様で加工歴がありボロボロになるまで活用された財布ですので、
今後は労わるように活用されることをお勧めします。
大切に長くご愛用ください。
by レザークリエーション http://www.brand-repair.com 「大切なブランドバッグ」で検索
(お手紙紹介です)
お世話になります。
昨日受け取りました!
想像以上にキレイになっており、とても驚いたのと同時に感動致しました。
本当にありがとうございました!!!!
大切に大切に使わせて頂きます。
また、ブログも楽しみにしております。
暑い日が続いております。
体調を崩されませんようご自愛くださいませ。
千葉県 M 様
お受け取りのご連絡ありがとうございます。
良い状態を保ち続けるためには丁寧な取り扱いが最善策です。
大切に長くご愛用ください。