かなり長時間ガブガブ噛まれていたようで各部に大きな損傷があります。
カブセの左上角は食べられて無くなっています。
内張りや芯材なども含め後ろ面の本体まで食べられて欠損していますし唾液で革も硬化しています。
持ち手はガブガブしやすかったのか?
このバッグを発見した時は愕然としたことでしょう。
反対側の持ち手はこの状態です。重症ですが他の個所と比べると軽傷に見えてしまいます。
持ち手やベルトを取り外してベルトの先の金具も取り外して見ました。
この金具の脱着加工が出来る修理店は多く無いと思いますがバーキンには必要不可欠なパーツです。
さすがに当社でもバーキンでなければ修理は諦める状態ですが、
なんとか使用出来る状態になるように頑張ってみます。
カブセと後面の本体の欠損部は部分的に作成して元の形に仕上げていきます。
芯材や革など何層にもなっているパーツをそれぞれ部分作成して形成します。
パーツを取り外して気が付きましたがマチにも強烈な歯型が・・・・破れています
底ビョウも無くなっています。
シンプルな底ビョウですが高品質な金具でして既成品では代用できないパーツです。
4か所とも安物の既成品に取り替える修理店が多いと思いますがエルメスですしバーキンですし・・・・
ほとんどの修理店は底ビョウだけでギブアップですね!
・・・・・というか1枚目の画像でギブアップですよねぇ~
真鍮の無垢材から削り出して底ビョウを作成します。
真鍮をカットしてヤスリで平らにしているところです。
金属加工屋さんでは考えられないアナログ作業です。・・・大根のように切れると楽なんですが・・・・
中心部に取り付けのための穴を開けています。
もはやバッグの修理屋の画像ではありませんね!
少しづつ削って底ビョウの形に仕上げて行きます。
悪戦苦闘しながら完成に近づいてきました。
バッグに取り付け底ビョウの完成です。
良い感じに仕上がっています。
底ビョウの完成で油断していましたが作業は山積みです。
キーケースや持ち手など交換出来る革パーツは新品作成して本体に取り付けます。
ようやく完成しました。
噛まれて破れていたマチも修復しています。
ガブガブ食べられて欠損していたカブセの角は部分作成して継ぎ足し形成しています。
諦めるしかない無残な状態でしたが、ご使用可能な状態に復元しています。
強化加工も施してありますので耐久性も問題ありません。
ガブガブ噛まれてボロボロだった後ろ面の角も部分作成して継ぎ足し再生しました。
やり過ぎかもしれませんがベルトの裏面にあるエルメスの製造刻印も元通りに再利用しています。
「廃棄するしかないのかなぁ~」・・・が第一印象でしたが、なんとか悪戦苦闘の結果復活しました。
使用不可能な状態でしたが、なんとか引き続きご愛用いただけると思います。
ワンちゃんの不祥事は許してあげてください。
by レザークリエーション http://www.brand-repair.com 「大切なブランドバッグ」で検索