プラダのリュックとフルラのトートバッグです。
FURLA(フルラ)のトートバッグには各部に擦れが見られます。
このバッグは床革といわれる素材で作成されたバッグです。
厚みがある皮革をスライスして表皮の良い部分を取除いた端材ですので、
繊維が荒く強度もなく革素材としては粗悪な部分です。
各メーカーでは基本的には廃棄する床革ですが、
バレンシアガやミュウミュウやフルラなど一部の有名ブランドで、
廃棄していた床革で製品を製造販売する傾向があります。
持ち手や本体のコバ面もハガレが見られます。
負担が掛かる持ち手も床革です。
さすがに持ち手には芯材を挟み込んで強度アップさせていますが、
使用されている芯材も別の床革です。
床革だけで構成された持ち手では強度不足です。
本体は床革だけで芯材や内張りがない構造です。
破れたベルクロテープは交換します。
通常の牛革バッグの表面全体が2ミリ近く磨り減ったのと同じ状態のバッグ。
全体が2ミリも磨り減ったバッグが現実にあれば廃棄です。
表皮が存在しない繊維が荒い床革ですので限界はありますが、
補修補色加工で出来る限り擦れを目立たなくします。
コバ塗料も剥がしましたので仕上げ直します。
プラダのリュックはショルダーから黄色い粉が出てきます。
直営店で購入された品ですが中国生産のプラダリュックです。
安く製造するためにイタリーブランドも中国製になったり、
床革のような素材を使用したりと残念感を感じます。
ショルダーを解体して劣化した芯材を取除きます。
硬化した芯材が粉々になったものが繊維の隙間から出ていました。
粉が染み込んだショルダー布地をクリーニングして、
粉々に劣化することがない芯材を使用して組み立て直します。
表皮がない床革素材の補修補色に悪戦苦闘しましたが、
出来る限り擦れが目立たないように仕上げました。
コバ面も仕上げ直しています。
素材の問題ですが、このバッグ以上に時間と手間が掛かったことはありません。
床革素材を使用するメリットは材料費が安くなるメーカー側だけで、
床革で製品を作り販売するメーカーには少し悪意すら感じます。
ベルクロテープの交換完了。
本革で持ち手を作成交換。
元の持ち手とサイズは同じですが強度は何倍も強いです。
たとえば、0.6ミリの薄い本革を素手で破るのは不可能ですが、
床革なら簡単に破くことができます。
本革と同じ強度の床革なら3倍以上の厚みが必要です。
ショルダーベルトを本体に組み付けてショルダー再生の完了です。
当社で加工したプラダのショルダーベルトは2度と粉を吹くことはなく、
本革で作成交換したフルラの持ち手も耐久性に心配はいりません。
全体が2ミリ近く磨り減った状態と同じ床革の本体は、
出来る限り丁寧に活用するほかに良い状態をたもつ方法はありません。
出来る限り良い状態を保ちながら大切に活用ください。
by レザークリエーション http://www.brand-repair.com 「大切なブランドバッグ」で検索