
エルメス ベアン レクトベルソ(bearn recto verso)です。
変型した折り曲げ部や色あせや汚れが見られます。![]()

反対面にもH金具がありメッキが剥がれて素材が露出しています。

こちら側のベルトはH金具の下で縫い付けられて固定されています。

ベルトの片側が固定されているので抜け落ちる心配が無い構造です。

金具のメッキがはげるまで活用されていますので、
本体も色あせや汚れが見られます。

ベルトやカブセと比較すると内側のポケット部は色が綺麗です。

折り曲げ部は変型だけで無く擦り切れ欠損もあります。![]()

小銭入れのカブセ折り曲げ部も同様に。。。

カブセ側の四角い金具の型が凹ホック側に付いています。

構造的に避けようが無い押し型ですが・・・

凸ホックの頭が変型して潰れていることも原因です。

小銭入れの中の汚れは避けようが無く、
ホック金具の裏側が裂けるのもコインとホックで挟まれて擦れるので、
避けようが無い損傷です。
この辺りも改善させながらリニューアルリペア加工を施します。

ベルトとH金具を取り外すと擦れや汚れ具合が鮮明です。![]()

内側の札入れも擦れや汚れが目立ちます。![]()

リニューアルリペア加工ですのでバラバラに解体。![]()

ポケットのマチ部材も0.3ミリの薄い内張りを剥がして、
強化芯材を入れ込みます。

小銭入れのカブセも同様に。。。

小銭入れ部も同様に。。。
通常の解体は縫製糸を解くだけですが、
リニューアルリペアでは接着された革も剥がして解体します。
強化芯材を入れ込むための解体ですが、
とても難しい作業です。![]()

黄色く見える部分は擦れて塗料が剥がれた部分です。
茶色く見える部分は表皮まで剥がれて革の下地が露出しています。
H金具を取り外した丸い穴が空いた部分が本来の革色です。

汚れを取除くと各部の傷み具合が鮮明になります。
各部を強化して見た目も整えながら組み立て直します。![]()

ベロ革や折り曲げ部や各部ポケットなどを強化して、
リニューアルリペア加工の完了です。

汚れていた札入れも綺麗にしておきました。![]()

小銭入れ側も同様に。。。

小銭入れの中も綺麗になりホック部の擦切れ破れも強化しながら改善。![]()

通常は交換不可能な凸ホックも変型していましたので交換しています。![]()

強化加工を施したことで折り曲げ部の変型も改善してスッキリです。
擦れや汚れが目立つ革色ですので丁寧に活用するしか、
綺麗な状態を保つことは出来ません。
バッグの中でも他の物と擦れて傷みますので、
財布だけを単体でバッグの内ポケットに入れるなど工夫することで、
綺麗な状態を保ちやすくなります。
大切に長くご愛用ください。
by レザークリエーション http://www.brand-repair.com 「大切なブランドバッグ」で検索
(お手紙紹介です)
ご担当者様
本日品物が届きました。
使い古して柔らか過ぎた財布が、リニューアルリペアで蘇りました。
強化芯材で型くずれなく、手に馴染むまで少し時間がかかりそうな程です。
ホックが少し気になるような感じはありますが、お願いして良かったです。
次回受付できたら、またお願いしたいと思いました。
ありがとうございました。
神奈川県 M 様
お受け取りのご連絡ありがとうございます。
ホックは緩めの方が本体への負担が少ないので、
今回は凹側のホックは交換していません。
凸側ホック交換で加工前より開閉も強くなっていますが、
小銭入れやカブセの本体側を強化して丈夫になったことで、
ホックの開閉が緩く感じられますがロックはかかる状態です。
出来る限り良い状態を保ちながら大切に長くご愛用ください。