ケリーバッグの劣化欠損

25年前にヴィンテージショップで出会われたエルメスのケリーバッグです。
おそらく製造は1966年で60年が経過したバッグです。

革は劣化して柔軟性が低下していますので持ち手が切れています。
南京錠(カデナ)も変色しています。

持ち手は無数の亀裂があり負担が掛かるパーツですので作成交換が必要です。

金具も腐食や変色が見られます。

同様に。。。

ヒネリ金具は変色だけでなくユルユルでグラつきが見られます。


両サイドのベルトにも無数の亀裂が見られます。
革が劣化して硬化していますので持ち手と同じように作成交換が安全。
しかし、ベルト裏には製造刻印があるので残したいと希望されています。

強化加工で構造的に丈夫にすることは可能ですが、
表面の革が切れてしまう可能性も高く思案が必要です。

カブセ付け根が大きく欠損して残念すぎる縫製も見られます。
瞬間接着剤の使用もあり欠損部の周囲は硬化しています。

反対側の付け根は瞬間接着剤の使用量が多すぎます。
ヴィンテージ感を楽しむために出来る限りパーツ交換や塗装はしないで、
活用出来る状態にしたいとのご要望ですが解体すら難しい状態です。

素材の劣化だけでなく、すでに塗装歴もあるようです。

60年が経過したバッグなので当然ですが前面まで亀裂が見られます。
大きく裂けることも予想されますので内側から強化しておきます。

マチも負担が掛かる部分ですので裂けています。

反対側も同様に。。。

消耗パーツのファスナーは破損していて交換が必要。

底面も劣化して底鋲金具は変色しています。

底角も塗装歴があります。
擦れて白く目立つ部分は補色します。

悪戦苦闘の末、大きく解体。
瞬間接着剤の使用や素材劣化があるバッグは解体に苦労しますが、
組み立て直すのは、それ以上に困難を極めます。

両側マチは内張りを剥がして強化芯材を入れこみます。
当然ながら内部材の革も劣化していますので解体には時間が掛かります。

前面も解体してヒネリ金具のグラつきを改善させます。
良い時代のケリーバッグですので芯材には本革が使用されています。

カブセ付け根やマチの欠損部は部分作成して元の素材を残します。

反対側も欠損部は部分作成で対応します。
カブセの折り曲げ部は両側とも強化加工を施し悪化を抑えます。

金具は磨き込むと綺麗になりますが時間が掛かります。

底鋲も磨くと綺麗です。

無数の亀裂が見られた持ち手はエルメス同様デュプイ社の
ボックスカーフで作成交換。

変色や腐食が見られた金具も復活。

カブセ裏も同様に。。。

ヒネリ金具は使用していると必ず緩んできますので少し固めに調整。

底角の擦れや底鋲も改善。

ファスナーも使用できるようになりました。

欠損や瞬間接着剤で硬化した部分を取除き部分作成しながら強化しました。

反対側も同様に。。。

両側ベルトの裏側先端にある刻印を残すために裏面は再利用しましたが、
切れてしまうと元も子もないので強化しながら表面は作成。

綺麗なクロシェットはエルメスで購入されています。

さすがに60年が経過したバッグは素材自体の傷みが激しいですが、
各部を強化しながら修復したことでヴィンテージ感を楽しみながら、
活用いただけます。

大切に長くご愛用ください。

by レザークリエーション http://www.brand-repair.com 「大切なブランドバッグ」で検索