
1970年代のエルメスのケリーバッグです。
古い品ですので革や糸など素材としても限界です。
安心して活用するためには全体的な加工が理想的な状態です。

全体的に傷や汚れがあり革は柔軟性が低下しています。

この辺りの擦れ傷は目立ちます。
しかし、見た目の加工より本来は各部強化など構造的な加工を施すのが、
安心して使用するためには優先するべき加工内容です。

底角は糸が擦り切れて口が空いています。
表皮が剥がれ擦れ部には他店様で塗装されているようですが・・・・

こちらの角も同様に。。。。

持ち手は使用不可能な状態です。

こちら側の付け根は他店様で修理?した痕跡が見られます。

革を継ぎ足して接着剤で留めてあるだけの加工ですから簡単に剥がれます。

継ぎ足した革も接着だけですので簡単に外せましたが、
元の素材が切り取られていて復元するための部分が存在しません。
修理なのか損傷を与えただけなのか判断に苦しむ状態です。

持ち手の裏側は硬化した革の表皮がひび割れ剥がれています。
革が硬化して木のようになり、この部分は木炭か流木のような状態です。
他店様での取り返しがつかない損傷もあり持ち手の再生は諦めるのが得策です。

後面も傷や汚れが多数見られます。

後面の下部に鋭利な物で傷付いたような深い傷です。
革素材は木のような雰囲気に硬化していますねぇ~

マチにも深い傷が見られます。
塗料の厚みはミクロ単位ですので目で見えるほどの深い傷は、
染め直しだけで消すことは不可能です。

擦れ傷は全体的に見られますが面積は広く目立ちますが傷は浅い。

カブセ中央部は糸が弱くなり切れて口が空いています。

この辺りもホツレやすい部分です。

マチとカブセの縫い合わせ部は負担が掛かる部分でマチが破れています。

こちら側は大きく裂けて切れた部分が欠損しています。
革が木のような状態に変質していますので復元強化加工は苦労しそうです。

外周のコバ面は接着が剥がれて仕上げ直しが必要です。

HERMES PARISの小さな刻印がオールド感を感じさせます。
RLの金具はプレートは・・・・オーダーメード?

ロック金具のヒネリ部付け根は擦り減りも見られグラグラしています。
ヒネリの付け根にグラツキ防止の加工がない頃の金具ですねぇ~

カブセは中央部だけ糸が切れて口が空いていましたが、
空いた口を開くように引っ張るだけでカブセ全体の糸が切れてしまいました。
縫製糸が朽ちていますのでカブセは全体的に縫い直しが必要です。

破れたマチは内張りを剥がして強化芯材を挟み込みます。

予定外ですが両側のマチとも強化しておきます。

マチだけでなくカブセの付け根も強化加工を施して組み立て直しました。

ヒネリ金具の付け根はバッグの重みが集中する部分ですので、
必ず緩みが発生する部分です。
少し強めに調整してグラツキを取り除いています。

コバ面は接着からやり直して仕上げ直してスッキリ。
裂けていたマチも丈夫に復元して安心です。

同様に。。。。

擦れ傷が目立つ状態でしたが補修補色加工で良好に。
持ち手は丈夫に作成してカブセの外周も全体的に縫い直し、
カブセの付け根には強化加工も施してあります。

結果的にご予算を超える加工が多数必要になり悪戦苦闘しましたが、
リニューアルリペアではありませんので各部には心配な個所が多くあります。
古い品ですので糸や革など素材自体の強度が低下していますので、
労わるように活用されることをお勧めいたします。
by レザークリエーション http://www.brand-repair.com 「大切なブランドバッグ」で検索