エールバッグのベルト


エルメスのエールバッグTPMとグレー色のシャネルのマトラッセです。

 

 

 


ベルトを金具に通すだけのロックですが金具の穴が大きく簡単に抜けます。

使いにくいバッグの代表ですのでエールバッグと検索すると、
「使いにくい」と表示されるほどです。

 

 


エルメスに相談されたそうですがベルトの厚みを増すしか方法はなく、
対応は出来ないとのこと。。。

 

 

 


ベルトを抜き取ることでバッグが解体されて布地の本体を交換できます。

ショルダーベルトもサイドベルトに通しているだけですので、
何度か抜落ちた事もあるようです。

 

 


カブセも金具もベルトで固定されています。

 

 

 


解体するには1分もかかりません。
横長タイプの本体に入れ替える事が出来ます。

 

 

 


現状のベルトの厚みでギリギリ通すことが出来る金具固定部。

 

 

 


ベルトを固定していた中央部は大きく凹むほどベルトの厚みはギリギリ。

エルメスの店員のベルトの厚みを増すアドバイスは何でしょう?
厚みを増すとバッグを組み立てることも解体も出来ません。

 

 

 


使用感が少ない現行品質のシャネル マトラッセです。
青味がある濃いグレーで複雑な色です。

 

 

 


カブセ中央部に擦れが見られます。

 

 

 


正面中央で目立ちますが擦れとしては軽傷です。
しかし、軽傷の擦れでも色が剥がれてしまう素材である証です。

 

 

 


カブセ中央部の擦れを気にされている様子でしたが、
底角にも擦れがあり白くなっています。

 

 

 


こちらの底角も同様に。。。

 

 

 


底角は4箇所ともに擦れがありカブセの付け根にも擦れがありますが、
深い傷はありませんので軽傷です。

 

 

 


エールバッグTPMのロック部の改善加工の完了です。
何度も揺さぶってみましたがベルトが抜けることはありません。

 

 

 


ベルトの裏面に革を貼り合せてコバ面も仕上げ直しています。
しかし、厚みを増してしまうと組み立てることは出来ませんので。。。

 

 

 


ヨレヨレだった繊維部分を取り除いたあと革を貼り合せましたので、
ベルトのヨレヨレ感は改善しましたが厚みは増していません。

それでは抜落ちてしまうのではと・・・
このバッグが発売された当時から何度もご依頼があった加工ですので、
抜落ちないように加工しています。

 

 


マトラッセのカブセ中央部の擦れ傷の補修補色加工の完了です。

 

 

 


底角も同様に。。。

 

 

 


こちらの底角も同様に。。。

 

 

 


カブセ付け根付近も改善。

 

 

 


エールバッグは当社独自の加工もあり金具への抜き差し強度も強くなり、
使用中にバッグが落下するようなことはありません。

シャネルは表皮だけを薄く着色しただけの革ですので、
良い状態を保つのは難しすぎるバッグです。

ある程度の傷は覚悟して革の繊維が毛羽立つような深い傷になる前に、
メンテナンスを繰り返すしか良い状態を保つ方法はないと考えます。

大切に長くご愛用ください。

by レザークリエーション http://www.brand-repair.com 「大切なブランドバッグ」で検索