製造から25年以上経過したカルティエ長財布です。
全体的に黒い汚れが染み込んだ状態で擦れや修理歴もある財布です。
擦れて傷みやすい角部をガードしてくれるコーナー金具は、
デザインのアクセントになっていますので再メッキで高級感を復活させます。
折り曲げ部は擦り切れて破れた部分に0.3㎜ほどの薄い革を張り付けて、
擦り切れ穴を目隠しする修理加工を施した跡が見られます。
部分的に塗装もしているようで少し残念な状態です。
カブセの天部は革がひび割れてサクサク状態で黒い汚れも染み込んでいます。
長年のご使用と経年劣化で硬化した革が新品に戻ることはありませんが、
このままでは急激に悪化しますので出来る限り改善させたいと思います。
カブセ全体の色合いがワインカラーとは思えないほど黒ずんでいます。
内側を見ると長年大切に活用されてきたことがわかります。
擦れや傷や汚れは各部に見られますが使用年数を考えると良好ですね。
今回はリニューアルリペアですので内側部材の傷や擦れだけでなく、
各部に強化加工も施し強度アップさせます。
同じように外面に薄い革を張り合わせて縫製するだけなら楽なんですが、
擦り切れ穴を目隠しすることができても強度アップさせることができません。
大きく解体してみましたが折り曲げ部に芯材などは入れられていませんでした。
この部分に強化芯材を入れ込んで擦り切れ穴を塞ぎながら縫製します。
エンボス加工で出っ張ったカルティエのマークは擦れやすいので、
汚れを取り除くと現状の姿が鮮明です。
強化加工は施されていない折り曲げ部の修理歴ですが、
高い技術で加工されていましたので本体に致命的なダメージはありません。
札入れポケットなども内張りを剥がして強化芯材を入れ込み縫製します。
汚れや擦れなどを改善させながら各部に強化加工をほ施し、
リニューアルリペア加工の完了です。
革の劣化でガサガサだった天部も出来る限り改善させながら、
全体を本来のワインカラーに復活させています。
各部の強化加工や補修補色加工で気持ちよくご愛用いただける状態です。
しかし、長年活用してきた古い財布であることに変わりありませんので、
出来る限り丁寧に使用しながら大切に長くご愛用ください。
by レザークリエーション http://www.brand-repair.com 「大切なブランドバッグ」で検索
(お手紙紹介です)
ブログを拝見させて頂きました。
今まで大切にしてきましたが
普段使いのモノでしたので丁寧には
扱っておりませんでした。
分解写真を見て
相当に痛めていたと痛感しました。
完了写真を見て
20年前の感激した気持ちを
思い出しました。
丁寧に大切にしていきます。
有難う御座います。
大阪府 Y 様
財布やバッグを大切に長く活用することは、
簡単なようで難しいことです。
また、手放したくないと思える品に出会うことは、
もっと難しいです。
出来る限り長くご愛用いただけるように、
加工していますので、引き続き大切にご愛用ください。