1993年製造で28年が経過したヴィトン長財布とオールドグッチ財布です。
最高品質時代の財布ですがホツレやヤブレなど各部に損傷があります。
ホツレだけで無く口が空いても活用していると汚れや湿気が中に入り、
素材劣化が進行します。
4カ所ある折り曲げ部には欠損もあり手遅れ状態です。
良い状態を保ち続けるためには早めのメンテナンスが最善です。
年代物ですのでモノグラム地に亀裂も見られます。
ホックの開閉時に負担が掛かる部分ですので、
これ以上、悪化させないように対策が必要です。
30年近く経過した財布は内部材も限界を超えています。
表皮が剥がれた部分には手垢など汚れが染み込んでいます。
小銭入れの中の汚れは活用すれば避けようが無い損傷です。
カード類を詰め込み過ぎると裂けてしまいます。
カードポケットだけでなく財布は中身をスッキリさせるのが、
長持ちさせる秘訣です。
モノグラム地に亀裂が発生していましたが内部材の革も指先で擦れて、
革がなくなり黒い芯材が露出しています。
各部の状態を見ると十分に活躍してくれた財布ですが、
買換えることが出来ない品質の財布ですのでリニューアルリペアします。
オールドグッチの財布も各部に損傷があり縫製糸も劣化しています。
後面の小銭入れのカブセは縫製糸がなくなり剥がれています。
色濃くなった染みは瞬間接着剤を使用した痕跡です。
瞬間接着剤で修理すると革が硬化して復活させることはできません。
瞬間接着剤を使用していない部分も重傷です。
内側の札入れ部は綺麗です。
縫製糸が朽ちていますので大きく口が空いています。
ロック金具もゴールドだったことが擦れない部分でわかる程度。
バラバラに解体して各部を強化しながら劣化した合成皮革の内張りは
本革で作製交換してリニューアルリペア加工を施します。
マチ部材の縫い合わせ部などは亀裂が発生しやすい部分です。
薄い革を破らないように剥がして芯材を挟み込んで組み立て直します。
オールドグッチ財布もバラバラに解体してリニューアルリペアします。
グッチも薄い革を剥がして強化芯材を入れ込みます。
裏側に黒い布テープを貼り合せてGG柄布地とリボンをつないでいました。
今回は布テープを取り外して全面に芯材を入れて組み立て直します。
傷んだ芯材や劣化した合成皮革の内張りを取除き、
各部を強化しながら組み立て直しリニューアルリペア加工の完了です。
カブセ全体や折り曲げ部を強化してコバ面を仕上げ直しています。
裂けていたカードポケットは復元強化加工で復活させて、
各部の擦れや汚れも出来る限り改善させました。
小銭入れの中も綺麗になりました。
オールドグッチのロック金具も再メッキ加工で新品時の輝きです。
小銭入れのカブセは元通り豚革で作製交換しています。
当然、錆びたホック金具も新品交換していますので安心です。
見た目の改善も重要ですが古い財布を使い続けるためには、
各部の強化加工が最も重要です。
年代物ですが構造的には新品時より丈夫に仕上げていますので、
手にしただけで丈夫になったことがわかると思います。
丁寧に活用しながら少しずつ馴染ませて長く愛用ください。
by レザークリエーション http://www.brand-repair.com 「大切なブランドバッグ」で検索
(お手紙紹介です)
レザークリエーション御中
お世話になります。
昨日、御財布2点、受け取りました。
こんなに綺麗にして頂き感謝の気持ちで一杯です。
見違えるほど綺麗になりましたが
お財布には母が使用していた痕跡がしっかりあり
これからは私の歴史も刻めることを嬉しく思っております。
そして、ゆくゆくは娘にも受け渡したいと思っておりますので
御社が仰っていますように“早めのメンテナンス”と
“丁寧に大切に扱っていく”ことを心がけます。
グッチの財布は、43年前に母の兄が、母への結婚祝いに贈ったものです。
そんな思い出を引き継げることができたのも御社のおかげです。
何度、お礼をお伝えしても足りいないほどです。
本当にありがとうございました。
石川県 W 様
お受け取りのご連絡ありがとうございます。
ヤブレや傷や汚れなどが見られる手遅れ状態の財布が
新品に戻ることはありませんが、
活用できる状態に復活しただけでなく、
構造的には新品時より丈夫に組み立て直しています。
年代物ですが引き続き活用いただける状態に復活しましたので、
出来る限り良い状態を保ちながら大切に長くご愛用ください。