他店様で加工歴がある年代物のシャネルです。

 

 

 

 

マチ部材は変形が見られます。

 

 

 

 

底マチも変形しています。

 

 

 

 

底角付近も同様に大きく変形しています。

フランス語でマトラッセ（matelassé）とはキルティング加工のことですが、
マトラッセには膨らみがなく芯材が劣化しているようです。

 

 

 

 

 

ショルダーチェーンも中革に擦れが目立ち、メッキも剥がれています。

 

 

 

 

他店様で外周を縫い直したあと、外周のみ塗装した痕跡が見られます。

 

 

 

 

マチの天部には亀裂が見られますので丁寧な取り扱いと、
早めの対策が必要です。

 

 

 

 

前後面に芯材を追加するために外周を縫い直しているようですが、
古いバッグで革も劣化していますので不安な状態です。

 

 

 

 

外周を塗装することで見た目を整えていますが、
擦れや亀裂が多数見られます。

 

 

 

 

持ち手の付け根革の取り付け部は表面の薄い革だけに縫いつけているようで、
少し持ち上げるだけで本体マトラッセ面が浮き上がります。

 

 

 

 

同様に。。。。

他店様で芯材を入れ込む加工を施したとのことですが、
このままでは本体が裂けてしまう心配がありますし、
既にマトラッセは変形やシワが発生しています。

 

 

 

 

変形。

 

 

 

 

革の弛みは芯材の劣化だけが原因かわかりませんが、
とりあえずは解体加工からスタートします。

 

 

 

 

前後面を解体してご依頼いただいたマトラッセを加工を施します。

 

 

 

 

 

硬いボール紙の芯材が入れ込んでありましたが、
何故か外面ではなく内張り側に芯材が張り合わせてあります。

 

 

 

 

ステッチまで足りていない芯材では強度アップの効果は期待できません。

 

 

 

 

 

同様に。。。。

他店様で入れた芯材は堅すぎるとのことですので取り除きます。

 

 

 

 

ご依頼いただいたマトラッセ面です。

 

 

 

 

 

マトラッセ裏の布は切り裂いた跡が見られます。
劣化したスポンジ芯材を取り除くために穴を空けたようです。

 

 

 

 

劣化したスポンジ芯材が残った部分も。。。。

 

 

 

 

 

同様に。。。

 

 

 

 

 

外周の芯材はボロボロです。

 

 

 

 

 

外周のヘリ返し革を剥がしてボロボロの芯材を取り除きます。

 

 

 

 

 

こんな感じ。。。

 

 

 

 

 

ステッチの升ごとに穴が空けられた布芯も剥がします。
劣化した芯材が残っていることがわかります。

 

 

 

 

 

スポンジの芯材は堅く硬化したあと粉状に劣化しています。

 

 

 

 

 

清掃。

 

 

 

 

外面革が単体になりましたのでマトラッセ芯を入れて縫製します。

 

 

 

 

 

古いバッグで柔軟性が低下した革はミシン目が切り取り線のようになり、
破れてしまいやすいので丁寧な取り扱いが必要です。

 

 

 

 

この辺りも裂けています。

 

 

 

 

 

内部材の外周は縫い直しや補色加工に加えて素材劣化も見られますので、
外周全体に革で強化して縫い直す必要が出てきました。

 

 

 

 

金具の上部に亀裂が見られます。

 

 

 

 

 

裏側から見ると薄い革が張り合わせてあります。

亀裂を補修したものと推測しますが、
ボロボロになったボール紙の芯材の上から革を張り合わせても効果は？？？

 

 

 

 

芯材を剥がして補修した部分も発見。

 

 

 

 

 

少し不思議な加工ですが今回は外面マトラッセのみのご依頼ですので、
このままで放置します。

 

 

 

 

芯材が劣化するほど古い品というだけでなく、
他店様での加工歴もあり通常よりも悪戦苦闘しましたが、
マトラッセ芯材が入り膨らみとクッションが復活しました。

 

 

 

 

持ち手の付け根革だけが浮き上がることがないように加工していますので、
耐久性もアップしています。

リニューアルリペア加工をご提案するほどの状態ですので、
各部に心配な部分が多数見られます。
丁寧に取り扱いながら現状を保てるようにご愛用ください。

ｂｙ　レザークリエーション　http://www.brand-repair.com 「大切なブランドバッグ」で検索