ルイヴィトンの書類バッグ(セルヴィエット・フェルモワール)と名刺入れです。
ドクターバッグとかダレスバッグなどと呼ばれる構造の鞄ですが、
ルイヴィトンでは書類カバンとして販売されていました。
名刺入れは1998年に製造された品のようで丈夫なモノグラム素材です。
内張りの合成皮革がベタ付き劣化していますので本革で張り替えるのですが・・・
両側のマチ部材と内張りを張り替える大がかりな加工になりますが、
高品質時代の製品ですので安心して活用いただけるように復活させます。
書類カバンはヌメ革パーツから長年活躍してくれた様子がわかります。
バッグは大きく解体してリニューアルリペア加工を施します。
本体はスルメイカを炙ったような感じに変形して、
コバ面に塗料は残っていますがモノグラム地は剥がれています。
シンプルな構造のバッグですが最近の製品に多い袋物構造ではなく、
鞄構造の中でも頑丈すぎるくらい作りで、生産には手間と技術が必要。
廃盤になるのもうなずけます。
残念ながらファスナーポケットの中は劣化していて使用できません。
ベタ付き劣化しないように本革仕様で張り替えますが、
当然ながら大きく解体しなければ作業はできません。
名刺入れを解体して劣化した内張りを剥がし取りました。
こちらも本革で張り替えて組み立て直します。
モノグラム地に張り合わされた白い芯材と黒い芯材が入れ込まれています。
スルメイカ状態ですので芯材を丈夫なものに入れ替えますが、
丈夫にすれば組み立てが困難になることは覚悟しなければ・・・・
今回はマチ部材も全体に強化芯材を入れて組み立てます。
組み立てられるのか心配ですが・・・・
センターロックのベロ革もスルメイカ状態で付け根付近には亀裂も見られます。
問題のない程度でしたが瞬間接着剤を使用した痕跡も・・・・
ファスナーポケットの外面には荷物の出し入れで付いた傷が見られます。
目立たない内側ですが色褪せもありましたので補修補色加工で、
多数見られた傷を目立たなく加工しておきました。
名刺入れは両側のマチとも作成して新品より丈夫に仕上げました。
劣化した合成皮革は本革で張替ましたので安心して活用いただけます。
悪戦苦闘の末、見るからに頑丈な雰囲気に復活。
リニューアルリペア加工の完了です。
ヨレヨレだったマチもスッキリ。
強化芯材を入れ込んだマチは新品時より丈夫です。
前後面も強化芯材を入れていますので加工前の状態と比べると貫禄アップです。
合成皮革が劣化する心配もなくなり頑丈さもアップしています。
貴重なバッグですので大切に長く活用ください。
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(お手紙紹介です)
こんばんは。依頼者の 〇〇 です。
ご連絡を差し上げるのが遅くなり、申し訳ございませんでした。
依頼品2点をたしかに受け取りました。
本来なら、こんなにも バンッ とした、鞄と名刺入れであったのですね。
サイトに スルメイカ と表現されていたものが、本来の 鞄 に戻れたのですね。
さぞかし鞄も喜んでいることでしょう。勿論、依頼した私もです。
表裏、マチへの芯材入れ込みもあり、大変であったと推察いたします。
また、名刺入れにつきましても、小さなもので大変であったと思います。
「このまま仕舞ってしまおうか?」と思うほど美しく、使うのをためらうようですが、
鞄は陰干ししてヌ革を日焼けさせてから大事に長く使っていきます。
この度はありがとうございました。
このほかにも、いつの日かお願いしたいものがございます。
その際にはよろしくお願いします。
どうぞ、お身体をご慈愛くださいますように。
茨城県 I 様
お受け取りのご連絡ありがとうございます。
実は私自身も保有しているバッグと名刺入れなんですが、
同じようにベタツキ劣化が発生しています。
仕事の合間に片手間で直せる代物ではないだけに、
なかなか手が付けれないのが現状なんです。
今回の作業と同時進行で取り組むことも思案しましたが、
2本同時に取り掛かれる品ではないと・・・・断念しました。
いつの日か、復活させてあげたいと思います。
とても良い品ですので大切に長くご愛用ください。
ありがとうございました。
有限会社レザークリエーション