イヴサンローランとルイヴィトンの財布です。
メタリックの特殊な素材で色落ちなど耐久性のない財布です。
革紐は接着の剥がれが見られます。
内側を見れば丁寧に使用されていることがわかります。
しかし、擦れてしまう外面はメタリック塗装が剥がれています。
基本的に修復不可能な特殊素材ですが、
革の繊維が露出したままですと汚れを吸い込みやすく耐久性も低下します。
良い状態を維持したまま使用するのは困難な素材の財布です。
外周は全体的にメタリック塗装が剥がれています。
メタリックが剥がれた部分は白くなり目立ちすぎますので、
補色加工で整えながら表皮の露出を隠します。
この辺りは汚れが染み込んでいます。
こちらの財布は1999年に製造された財布ですが新品に近いほどの状態です。
しかし、内張りに使用された合成皮革素材が劣化していて、
張替交換が必要です。
内張りの張替には全バラに近い解体が必要になります。
劣化した合成皮革は本革仕様にバージョンアップして、
安心して長く愛用いただける状態に復活させます。
革紐は全体を接着し直してコバ面も仕上げ直しました。
同様に。。。。
スレスレで表皮が露出した部分も補修補色加工の完了です。
革の繊維が露出して白くなった部分を補色することで、
汚れや湿気を吸い込みにくくなり耐久性もアップします。
全体的にコーティング加工を施して色落ちを抑える加工も施しました。
内側もコーティングしています。
しかし、耐久性のない特殊な素材のままであることに変わりなく、
色落ちを留める効果よりも汚れが染み込みにくいと考える方が正解です。
ヴィトンの財布も合成皮革素材を取り除き、本革仕様で組み立て完了。
コバ面も仕上げ直しています。
高品質時代の財布だけに羨ましい財布です。
品質や耐久性や強度など両極端な財布です。
どんどん活用しないと勿体ないと思えるヴィトンの財布と、
良い状態を保ち続けるのは困難と思える特殊素材のサンローラン。
財布などの小物類はバッグの中で他の品物とこすれあったり、
バッグからの出し入れでファスナーなどと擦れてしまう事が多く、
使用による損傷よりもバッグの中の状態も工夫が必要です。
デリケートな素材の財布だけでなく、
その辺りを工夫して持ち歩くようにすると、
小物類は良い状態を保ちやすいです。
大切に長くご愛用ください。
by レザークリエーション http://www.brand-repair.com 「大切なブランドバッグ」で検索
(お手紙紹介です)
レザークリエーション様
昨日品物が到着しました。
修理内容もブログで拝見しましたが、
どれも綺麗になっていて、
愛着のある物を再使用できると喜んでいます。
素材も参考になりました。
これからも大事に丁寧に使用していきたいと思います。
本当にありがとうございます。
静岡県 M 様
お受け取りのご連絡ありがとうございます。
今回、ご依頼いただきました7点の内、
ルイヴィトン財布とディオール財布以外は、
とてもデリケートな素材で取り扱いが難しいです。
しかし、耐久性を重視して財布やバッグを選ぶのも、
楽しさが半減してしまいます。
どのような品でも丁寧に取り扱う事が最善のメンテナンスですので、
素材にこだわらずに気に入ったバッグや財布を選んで、
少しでも良い状態を保てるように工夫しながら使用するのも
デリケートな素材で作成された品の楽しみ方の一つだと思います。
大切に長くご愛用ください。