エルメスのバーキンですが全体的に損傷が激しく、
リニューアルリペア加工が必要です。
軽傷に見える部分も亀裂があり大きな力が加わると裂けてしまいます。
マチに天部は本体との縫い合わせ部4か所とも復元強化加工が必要です。
マチの中央部もスレスレでガサガサ。
天部は革が擦り切れて欠損して縫い直すこともできません。
両側とも同様の状態ですのでマチ天部だけで6か所になりそうですね。
当然のように底角は4か所とも穴が空くまで使い込んでいます。
擦り切れたパイピング革を縫いとめる様な素人加工の痕跡も見られます。
各部の残念すぎる状態はカブセを入れ込んだまま活用されていた為に、
損傷の進行が早まったものです。
カブセを開いたまま南京錠をぶら下げると本体に深い押し跡傷ができます。
また、負担が掛かるヒネリ金具もグラグラになり急激に悪化します。
前側の持ち手を取り外し、バッグ全体を裏返しにしたところです。
ロック金具の再生加工や持ち手の縫い直しのためには大きく解体が必要です。
各金具の取り付け部には革をあてがってガードしているところはエルメスならでは。
擦り切れて欠損したマチ部材は解体して復元強化加工を施します。
底角も4角とも解体してマチや本体やパイピングなどパーツごとに加工します。
汚れを取り除くと手垢汚れが染み込んで黒く見えていた部分が鮮明です。
表皮を整えた後、補色加工してコバ面も仕上げ直します。
もう少し早い段階でメンテナンスしていれば最善でしたが、
なんとか問題なくバーキンとして活用できる状態にリニューアルリペア完了です。
首の革一枚の状態だった持ち手の付け根も強度アップさせながら復元しています。
擦れや色褪せなど欠損も見られた持ち手も問題なく活用いただけます。
内張りも各部に見られた白い汚れを取り除き、気持ちよく使用できます。
両側のマチは天部に強化加工を施しながら裂けた部分を復元しています。
擦り切れて穴が空いたり革が裂けると直営店でも修理不可能となる事が多く、
バッグのためにも早めのメンテナンスを繰り返す方が、
良い状態を保ったままエルメスのバーキンとして愛用できます。
一度は使用不可能な状態まで使い込んだバーキンであることを踏まえながら、
今後は労わるように活用しながら、できるだけ良い状態を保って
大切に長くご愛用ください。
by レザークリエーション http://www.brand-repair.com 「大切なブランドバッグ」で検索