切り裂かれたバッグの復元強化加工

Birkin type (1)
人的損傷で故意に切り裂かれた状態のバッグです。

物を入れて持ち運ぶことが不可能ですから、もはやバッグとはいえませんね。

 

 

 

 

 

Birkin type (2)
後面も端から端まで切り裂かれています。

 

 

 

 

 

Birkin type (3)
マチ部材も切り裂かれていますので持ち上げると、こんな感じです。

 

 

 

 

 

Birkin type (4)
とうぜんながら、パイピング革や内張りも切り裂かれた状態です。

ご覧の状態から、「修理しましょう!」といえる修理店はいないような気がします。
できる限り修理は断念する方向で考えるのが最善であるとアドバイスしましたが、
思い入れのあるバッグで買い替えはできない品ということ・・・
出来る限りの加工を施すことにしました。

 

 

 

 

 

Birkin type (5)
今回は切り裂かれた部分の復元強化加工ですが、底角には擦れも見られます。

 

 

 

 

 

Birkin type (6)
切断部だけでなく余計な傷もあります。
もう少し切れ味の良い刃物で真っ直ぐに切断してほしかったです。

 

 

 

 

Birkin type (7)
切断面はガタガタでギザギザ。

 

 

 

 

 

Birkin type (8)
切られた革を代用の素材で作り替えれば楽ですが、
ほとんどのパーツは代用素材で作り替え交換になりますので、
まったく別のバッグになってしまいます。

 

 

 

 

Birkin type (11)
思い入れのある、このバッグだからリスクを承知の上で修理したいと・・・・
ご依頼いただきましたのでパーツ交換をすることはできません。

 

 

 

 

 

Birkin type (12)
この部分もご依頼箇所ではありませんがプレートを留めるビスが欠損しています。

余計な加工がどんどん増えますが放置できない部分です。

 

 

 

 

 

 

Birkin type (15)
解体しました。

もっと解体してパーツごとの再生加工が必要ですが・・・・

 

 

 

 

 

Birkin type (16)
内張りも内ポケットもファスナーもバッサリです。

 

 

 

 

 

Birkin type (17)
こちらの面も同様に。。。。

ポケットも内張りも解体してパーツごとに復元強化加工を施し組み立て直します。

 

 

 

 

 

Birkin type (18)
内側にはコバ塗料が流れて汚れた部分も。。。。

これもまた余計な加工ですが放置できませんねぇ~

 

 

 

 

 

Birkin type (19)
切り裂かれたバッグの復元強化加工の完了です。
バッグとは言えない状態でしたが革パーツの交換をしないで再生しています。

 

 

 

 

 

Birkin type (20)
前面の内張りも同様に。。。。

 

 

 

 

 

Birkin type (21)
切り裂かれたファスナーは再生不可能で新品交換しました。

 

 

 

 

 

Birkin type (22)
コバ塗料の汚れなども改善させていますのでスッキリです。

内側から外が見えなくなりましたので荷物を入れて使用することが可能です。
バッグと呼べる状態に復活です。

 

 

 

 

 

Birkin type (23)
外観もバッグと呼べる状態に復活しています。

ベルト先端のプレート金具もビスが欠損していましたが再生固定しています。
プレートを付け直すだけでも加工不可能な修理店も多いはず・・・・

 

 

 

 

 

Birkin type (24)
外面も革を代用品に変更せずに再生加工しています。

 

 

 

 

 

Birkin type (25)
後面も同様に。。。。。

 

 

 

 

 

 

Birkin type (26)
大きく裂かれた部分の再生以外にも予定外の加工が多数ありましたが、
バッグとして機能する状態に復活しています。

「思い入れのある、このバッグでなければダメなんです。」という言葉で、
加工を承ることを決めましたが、ビジネスとしては成立しない作業でした。

何年も捨てることができずに保管されていたとのことでしたが、
今後は活用いただけます。

一度は切り裂かれたバッグであることを忘れずに、
丁寧なご使用で大切にご愛用ください。

 

by レザークリエーション http://www.brand-repair.com 「大切なブランドバッグ」で検索