Cartier Wallet カルティエのガマ口財布です。
本来はこの部分に口金金具が付いていてガマ口の小銭入れなんですが・・・。
口金金具には瞬間接着剤が付着して革も剥がれて張り付いています。
外れてしまった口金金具を素人加工で取り付け用として瞬間接着剤を使用されたようです。
口金金具を取り付ける部分は瞬間接着剤が流れ込み、
財布本体と接着されていて口金金具の取り付けが不可能な状態です。
その上、革や芯材などプラスチックのように固くなっています。
折り曲げ部も擦り切れて革が欠損していますが瞬間接着剤は使用されておらず、
一安心です。。。。
折り曲げ部だけでなくカブセにも擦り切れが見られますねぇ~
口金金具に付着した瞬間接着剤を取り除き、口金取り付け部のパーツを取り外しました。
瞬間接着剤が染み込んだ縫製糸は簡単にほどけず解体するだけで苦労します。
このパーツは使えそうにありません。
外れた口金金具の取り付け固定加工なら数分で完了する加工なんですが・・・・
複雑な構造の財布ですが折り曲げ部は解体して強化芯材を入れ込みながら再生します。
反対側の折り曲げ部も同様に。。。
解体すると組立が必要になり技術と手間ひまがかかります。
傷んだ部分の上から革を貼り合わせたり、色を塗るだけで誤魔化す修理が多いようですが、
当社では解体して強化しながら復元します。
安心して使用して頂くには最善の方法なんですが、手間暇がかかりすぎますねぇ~。
カブセの外周ですが一番上の画像では白くなっていませんでした。
擦れて表皮が剥がれた部分に汚れがしみ込み本当の状態が隠れていたようです。
今回はクリーニングや補修補色加工の依頼ではないのですが、
少し塗料を調色しますのでカブセの折り曲げ部なども補修します。
口金金具の取り付け部を新品作成してガマ口小銭入れの完成です。
擦り切れていた折り曲げ部も復元強化加工の完成です。
使い込んで自然に傷んできたものは、よほどのことがない限り修理が可能です。
しかし、素人修理やいい加減な加工をする修理屋で人為的な損傷を与えられたものは、
取り返しがつかなくなることが多いです。
安心して使用できる状態になりましたが、とても良い財布ですので、
大切にご使用になり数年後には内外の見た目まで整える全体的な加工を
施されても良い品です。
大切にご使用ください。
by レザークリエーション http://www.brand-repair.com 「大切なブランドバッグ」で検索