黒のボックスカーフ素材でケリーバッグの王道品ですが、
大きな損傷があり使用不可能な状態です。
カブセやベルトが変形しているだけでなくカチカチに硬化しています。
変形して硬化したベルトやカブセの一部はプラスチックのような状態です。
変形の原因は定かでありませんが金具も腐食していますので、
クローゼットなどで湿気取り剤などの液体が付着したものかと想像します。
スポットライトなど高温の熱でも革は硬化しますが金具の状態から液体かな~と?
エルメス直営店では不可能とのことですが復活させてみようと思います。
適当な黒い革で損傷部を作り替えるだけでも金具の脱着加工をともない、
難易度の高い作業になりますが刻印がなくなると残念です。
天下のエルメスですから使用する素材も黒の牛革というだけでは・・・・
これは内側に入れられた鉄の芯材をカシメ金具で固定しているパーツです。
鉄芯が入れられていても接着剤で張り付けてあるだけのブランドがほとんどですが、
エルメスのケリーバッグは見えない部分でも手抜き加工はありません。
外面と内部材を解体するためには金具も取り外す必要があります。
カブセの天部に入れ込まれた鉄芯や金具類も取り外し、ようやく解体完了です。
生後3か月以内の子牛の革をカーフといいます。
子牛の革ですから革の面積も小さく、カーフというだけで高価な牛革です。
その高価なカーフの表面を内側に折り曲げるように揉み込んで、
表皮に特殊な風合いを持たせた革がボックスカーフです。
ボックスカーフというだけで一般的な牛革より、かなり高額ですが・・・・
今回はボックスカーフの中でもエルメスが使用するデュプイ社の革を使用します。
諸説ありますがボックスカーフは高価な革なため一枚ずつ箱に入れて保管や販売を
していたことが名前の由来という話があります。
入手が容易でない革であることは想像がつくと思いますが、なにより高価すぎます。
内側のファスナーポケットに物を入れても外面に型が出ないように、
芯材だけでなくフェルト芯を入れているのがエルメスのケリーバッグの特徴です。
外観からは見えない部分に様々な配慮をして高品質な素材を使用するので、
エルメスのケリーバッグは永遠のアイテムなのかもしれません。
エルメスであること。
ケリーバッグであること。
ボックスカーフの黒であること。
このバッグには構造面だけでなくブログでは語りつくせないほどの話が満載です。
「サック・ア・クロア」という名前が発売当時の商品名です。
by レザークリエーション http://www.brand-repair.com 「大切なブランドバッグ」で検
(お手紙紹介です)
バッグ届きました
綺麗に直していただき感激です
ありがとうございました。
東京都 K 様
お受け取りのご連絡ありがとうございます。
ケリーバッグということもあり残念すぎる状態でしたが、
悪戦苦闘の末、復活させることができました。
大切に長くご愛用ください。
ありがとうございました。