ヴィトン・ダミエのブロードウェイです。
大きなサイズの持ち手付きのショルダーバッグです。
基本的にはショルダーがメインですので、持ち手の作りは強度不足です。
このバッグも一度直営店で持ち手交換が施されています。
今回のリメイク加工はショルダーを取り外し、すぐにシワだらけになる茶色の革パーツを黒い革で作成します!
ショルダーベルトは取り外しますが、バッグ外周のベルトは取り外しません。
収納力のある大きなバッグで、バッグ全体の強化に一役かっていまして、
重い荷物を入れた時など型崩れ防止効果もあります。
しかし、革パーツは黒になるし平織りの布ショルダーですから、このままでは異質なパーツになりそうです
画像ではわかりづらいですが、カブセを留めるベルト付け根のシワは気になります。
外周に残す予定の布ベルトですが、革パーツが黒になれば違和感がありそうです。
こだわりの修理屋としてはベルトを取り外し強度が低下する加工など論外ですし・・・(対策考えます)
VUITTONの刻印マークが左マチのショルダー付け根革にあります。
ブランド刻印を独自に作れば犯罪ですから、技術的には可能な加工ですが、
ブランドに敬意をもつ当社でそんなことはできません!
しかし、ロゴマークが無くなると自分なら嫌なので対策を考えます。
持ち手は最近交換されているので良好ですが、持ち手をメインで使用するには薄っぺらな作りです。
付け根のループ革にも負担が多く掛かり、変形しています。(デザイン変更はせずに対策します)
荷物を多く入れられるのか?カブセの天部全体に変形も見られます。
カブセの付け根です。
反対側のカブセ付け根です。
負担の掛かる個所ですからこれ以上悪化しないように強化加工を施します。
当社のブログをご覧の皆さまにはお馴染の光景ですが、手の握力がヘロヘロです。
内張りの底にボールペンの大きなシミ汚れを発見してしまいました。
内側の底ですし、誰にも見られない部分ですし、取れそうもありませんし・・・・ご依頼も受けてませんし・・・・
カブセの裏側です。
持ち手交換された際の残念な部分も多数発見!バッグの中にパーツの残骸も残されていました。
この辺りの芯材はヘロヘロですので、剥がして取り除き新たに芯材を張り合わせます。
カブセ天部はボコボコと変形してお疲れのようすです。
カブセ付け根も解体して内側に補強材を入れ込んで組み立て直します。
今回は内張りと同じオレンジ色のステッチでご依頼いただいていまして、注目度をアップさせます!
ほとんどのメーカーはステッチを2~3目縫い返すだけだったり、内側にボンドで貼りつけて留めてあります。
当社では重要な個所は何重にも結び留めしたあと、ボンドで接着してほどけない様に作業しています。
取り外してドナドナする芯材や革パーツ達です。お疲れさまでした。
取り外して使わないパーツを縫っているのはミシンに元のパーツのステッチ幅をセッティングするためです。
ミシン目のピッチも適当に縫いつけることなく元のパーツに合わせて縫製します。
「そんなことまで誰も望まれていないかも?」と薄々は気が付いています。
マニア?こだわり?軽いノイローゼかもしれません?
ジャ~ン!完成です。
カブセの変形がなくなるとスッキリして凛々しく見えます。
持ち手もデザインやサイズの変更はありませんが、革を4枚重ねて贅沢仕様で作成しています。
カブセベルトもシワにならない様な柔軟で強度のある革を使用しています。
少し傷みもあったベルトですが、両サイドを黒の本革でテーピング加工してゴージャスに変身です。
ベルトの強度もアップしましたし、バッグとのマッチングも一体化して違和感ありません。
カブセ裏も黒い革に変更しています。
ベルト留め金具を通す四角い穴も変形していましたが強化して補正しました。スッキリです!
当社だけが気にしていたボールペン汚れですが、頑張りました!(半日くらい格闘しましたが限界です)
*誤解がないように、私の本名もご存じの友人のバッグですので・・・・・こんなサービスはありません。
カブセの付け根はかなり強度アップさせていますので安心です。
VUITTONのロゴマークは元のパーツを黒に染め直して再利用しています。
平織りベルトも取り外すと淋しく感じるような一体感があります。
前ポケットの天部のステッチも同色糸で縫い直して一体感を演出してるのわかります?(細かすぎ?)
数か月前、膝の上にバッグを置きリメイクの構想に悩みましたが、ようやく完成です。
内張りのオレンジと相まって、粋なバッグにリメイクされました。
なんか、持ち歩きたくなるバッグです。
大切にご使用ください。
by レザークリエーション http://www.brand-repair.com 「大切なブランドバッグ」で検索
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