1996年製造の財布(左)と2000年製造(右)の同一モデル(M61730)の財布です。
L字ファスナー付き財布で人気のあるモデルですが現在は仕様変更でニューモデルに移行しています。
1996も2000もデザインやサイズに変わりはありません。
カブセ裏の内側部材の比較ですが、革質が変更されているようです。
(左1996年モデル・右2000年モデル)
どちらの財布も12年~16年前の品ですので各部に損傷が見られます。
全て解体してパーツごとに復元強化加工を施し組み立て直します。
お知り合い同士でご依頼頂いた同じモデルの財布ですので同時進行で比較しながら進めます。
(1996モデル)折り曲げ部にはホツレがあり、外周全体に擦れキズも見られます。
内張りの合成皮革素材は劣化して剥がれているようですねぇ~
(2000モデル)画像では判りにくいですが擦れキズや折り曲げ部のホツレがあります。
合成皮革も同じ様に劣化していますが素材が1996モデルとは違う様で剥がれ方が異なります。
2000年モデルの合成皮革は対面の本革素材に貼りつくように色移りしています。(2000モデル)
同じモデルの財布でも年代で仕様が変われば素材の特性も変わる様で、
それぞれの損傷に合わせて加工を施す必要がありますが取り除けるかな~。
1996モデルの解体です。
リニューアルリペアをする度にバッグや財布を全バラして、ため息を付いています。
こんなことして元通りに組み上がるのでしょうか?
こんなこと他店や直営店では、絶対にやりませんよねェ~!
リスクが高いし手間暇ばかりで商売には繋がりませんから・・・・・
当社としても出来る限りご遠慮いただきたいリニューアルリペア加工ですが、
2度と手に入らない高品質時代の製品は大切に長く使用してほしいので頑張っています!
同じ品質の品が新品購入できるなら、リニューアルリペア加工なんて必要ありません。
この画像のパーツは小銭入れ部だけのパーツです。(1996モデル)
小銭入れ部だけでも解体には苦労するモデルですので、組み立てはもっと大変です。
この財布のファスナー交換を断る修理店は多いです。
直営店でもファスナーのみの交換や内張りだけの交換は対応してくれません。
古き良き時代の財布も現行素材に仕様変更され別物に様変わりしてしまいます。
汚れを拭き取ってみると色剥がれが重症です。(1996モデル)
札入れポケットの折り曲げ部ですが革が擦り切れて欠損しています。(1996モデル)
マチ部材も擦り切れて穴が空いています。(1996モデル)
穴が空いていない部分も擦れて革が薄くなり弱っています。
損傷個所だけでなく弱くなった所や負担が掛かる部分などは全て強化加工を施します。
続いて2000年モデルもバラバラです。(2000モデル)
本革に合成皮革の色移りが見られます。(2000モデル)
合成皮革が劣化し始めると悪化する方向にしか進行しません。
劣化を放置していると合成皮革以外のパーツに損傷を及ぼします。
合成皮革の劣化は出来る限り早めの修理される事が最善策です。
ヴィトンの刻印に重なる様にボールペン汚れが付いています。 (2000モデル)
なんとかしたいけど~難易度が高い汚れ方です。
革の色剥がれもありますが、革の表面をよ~く見ると全体に汚れている事がわかります。
表皮が擦れて色剥がれした部分に手垢などの汚れが浸みこむと画像のように見えます。
小銭入れのマチ部材です。(2000モデル)
この角の内側は札入れポケットがあり傷みやすい部分ですがモノグラム地に欠損が見られます。
(2000モデル)
同時進行中の1996年モデルより年式が新しい事もあり軽傷のように見えていたのですが、
解体して各部をチェックしていくと、負けず劣らずの損傷具合ですねぇ~
解体だけでも一苦労でしたので油断していましたが、これからが修理の本番です。
長くなりますので今日はここまでです。
後篇につづく・・・
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