大がかりなリニューアルリペア加工を年式の違う2つ財布を比較しながら同時進行する後篇です。
合成皮革部分は全て取り除き、ベタ付き劣化しない本革に交換します。
取り除く合成皮革部分に必要な分だけ革を切り出しましたが沢山の革が必要です。
この後、正確な寸法にカットして革の厚みも加工します。
外面のモノグラム地に張り合わされた内張りを剥がしたところです。
画像の折り曲げ部など負担が掛かる全ての部分に強化芯材を入れ込み頑丈にします。
*リニューアルリペア加工の工程の中で見た目が綺麗になる「補修や補色」の工程は、
「折角だから、少しは綺麗にしときましょうか?」的な感覚での作業でして、
内部構造を頑丈に仕上げ強度や品質を上げる強化加工が最大の目的です。
残念ながら、組み上がると外面からは見る事が出来ませんが・・・・・
本革の内張りが使用された部分も、一度剥がして強化芯材を入れ込みます。
張り合わされた薄い革を破らない様に剥がすのは一苦労ですが芯材を入れ込むには必要な作業です。
0.2~0.3㎜しかない革ですから注意を払いながら慎重に剥がします。
合成皮革の内張りを取り除いた小銭入れのマチ部材です。
上側2つが2000年モデルで下側2つが1996ねんモデルです。
表面的な型押し模様や色合いは大差ない両モデルのマチ部材です。
柔軟性がある2000モデルの革と張りのある硬めの1996モデル革で素材の変更が見られます。
革の製造工程での「なめし方」や「染色方法」など専門的な内容は割愛しますが、
2007年以降の最近のモデルは別の方向に仕様変更されていますので強化加工をお勧めします。
合成皮革の内張りを取り除いた革の内側の様子です。
本革の内張りを張りこむ前に強化芯材を張り合わせ強度アップさせて組み立てますので、
どちらの年式の素材でも同等の強度にアップします。
マチや各ポケットなど多数の強化加工を施しパーツごとに補修補色加工を施しました。(1996)
革が擦り切れて欠損した部分も復元強化加工を施し復活しています。
綺麗になったので油断してましたが、まだバラバラ状態です。
解体した物は組み立て直す必要があります。
新品なら組み立てもスムーズに進行するのですが、解体したものにはミシン穴がすでに空いています。
ミシン目など気にせずに縫製できれば作業時間は1/10以下で完了するのですが・・・・
2000年モデルも各部の強化加工と補修補色加工の完了です。(2000モデル)
劣化した合成皮革の色移りも綺麗になりました。
負担が掛かる小銭入れのマチも頑丈に擦れキズも綺麗になりました。(2000モデル)
解体するのも一目一目糸をほどくので大変ですが組み立てはもっと難しく根気が必要です。
ようやく内側部材が組み上がりましたのでモノグラム地の外面と合体させれば完成です!
小銭入れの中や札入れなど各ポケットの合成皮革は本革にグレードアップしています。
今回のモデルより、も~と古い年式モデルは、この財布のように全て本革仕様で販売されていました。
安心してご使用いただけるようにファスナーも新品に交換してあります。
なんとか、ボールペン汚れも綺麗になりました。(2000年モデル)
擦り切れて破れていた部分も復元強化加工で再生しています。(1996年モデル)
両モデルとも各ポケットの縫い合わせ部など負担が掛かる部分には全て強化加工を施してあります。
見た目は元通りですが強度は新品時以上です。
1996年と2000年モデルでは仕様の違いがありましたが同様の加工を施し頑丈になっています。
使用すれば表面的な擦れキズなどは避けようのないものですが、
作り込みが頑丈になり耐久性が向上していますので長くご使用いただけます。
大切に長くごしようください。
by レザークリエーション http://www.brand-repair.com 「大切なブランドバッグ」で検索
(お手紙紹介です)
有限会社レザークリエーション 担当者様
品物、受け取りました。
加工の様子も、詳しく掲載して頂き、大変な作業、
ありがとうございました。
また、大事に使わせて頂きます。
お世話様でした。
長野県 K 様
合成皮革が劣化することは避けようのないトラブルですが、
本革になりましたので安心してご使用いただけます。
大切に長くご使用ください。