ヴィトン・サンリス M51222です。
全体的に丸みのあるショルダーバッグで前ポケットや後ファスナー付きポケットなど便利なアイテムです。
ショルダーの付け根革が切れています。
切れた部分は革の繊維部分(床革部分)がモロモロに毛羽立ち爆発していますねぇ~。
反対側は完全には切れていないようですが、時間の問題ですね。
革が切れていない分、本体のモノグラム地に負担が掛かっている様な気がします・・・・
黒く錆びていた刻印入りカシメ金具を取り除き、解体して復元強化加工を施します。
こちらは革が完全に切れていなかった側のモノグラム地の様子です。
予想通りモノグラム地に亀裂があり裂けてしまう寸前ですので強化加工が必要です。
内張りを解体して内側から見たところですが補強加工などは施されていなかったようです。
すでに表面には亀裂がありますので強化芯材を入れ込んで頑丈にしてから縫製します。
ショルダーベルトの両側先端部は弱っていますが切れていないようです。
しかし、この部分も負担が大きく傷みやすい部分ですので強化加工を施して丈夫に仕上げます。
ショルダー先端を解体したところです。
この部分も床革がモロモロになって毛羽立ったような状態です。
この状態から内面に芯材を張り合わせるだけで組み立ててしまう修理店が大半ですが・・・・
負担が大きな先端部の内側ですが繊維の粗い床革だけが張り合わされた様な構造です。
当社では強度的にメリットのない使い古した床革は全て取り除いてしまいます。
「そこまでする必要は無い」との声もチラホラと聞こえてきそうですが・・・・
モロモロ状態の床革部分を剥がして分解しているところです。
ショルダーベルトの先だけでなくバッグ本体に擦れる部分は負担が大きいので
広範囲に解体して強化します。
長年のご使用で革に柔軟性が無くサクサクした状態ですので損傷を与えない様に解体するのは大変です。
このまま、強化芯材を入れ込むとモロモロ状態の床革が残ってしまいますし厚みも増してしまいます。
強度的にプラスになっていない床革は漉き取り厚みを整えた後、芯材を入れ込んで組み立て直します。
角菅金具が通る内側にも床革ではなくヌメ革を張り合わせダブルフェース仕様に仕上げています。
モロモロの床革の繊維が爆発したようになる事は2度とありません。
錆ついたカシメ金具も磨き込んで再生していますのでピカピカです。
完成すれば元通りの姿ですが、芯材を入れ込んだり見えない内側にヌメ革を貼り合わせたり、
縫いつけ部のモノグラム地まで強化加工したりと、少しやりすぎかな~とも思える加工ですが、
それだけに安心してご使用いただけます。
正直に申し上げると作業している本人が「やりすぎかなぁ~」と思いながら悩んでいます。
by レザークリエーション http://www.brand-repair.com 「大切なブランドバッグ」で検索