
a-testoni テストーニ ビジネスバッグです。
各部に損傷が見られますので以下の項目でご依頼を承りました。
1、外周ファスナー交換
2、引手金具の再生加工
3、付け根革4箇所の強化加工
4、パイピング革の補修補色加工
5、外面の補修補色加工
6、Tマークの再生加工
7、内ファスナーポケットの内布交換

センターのマーク金具は黒い樹脂部分が欠損して安っぽく見え残念です。
また、周りの刻印入り革ワッペンもスレスレ状態ですねぇ~![]()

ファスナーの引手金具は可動部が摩耗して外れています。
通常は再生不可能な構造ですが使用できるように加工します。

長年のご使用でファスナーは開閉が困難です。
消耗品ですし迷わず新品交換です。

底角付近です。
パイピングだけでなくマチ部材など本体も表皮が擦れて革の繊維が露出してます。

底角は傷みやすい部分ですが上部の角も同じような状態ですねぇ~![]()
長年の間、頑張ってくれた感が、にじみ出ていますねぇ~。

後面中央部も重症です。
この部分は牛の腹周りの繊維が荒い革が使用されていて少しブヨブヨしています。

持ち手や付け根革も小傷が全体に見られ丸いカシメ金具はサビが浮いています。

シンプルな内張りは合成皮革ですが劣化もなく問題ない状態です。

内張りの底にはボールペン汚れが見られますが、
ビジネスバッグですし他人からは見えない部分です。

機能的には問題ありませんが内ファスナーポケットの内張りの汚れを
気にされていましたので、もう少し丈夫で高級感のある素材で作成交換します。

内張りとファスナーを取り外したところです。
重い書類などを入れても大丈夫なように全体に芯材があり縫製も丁寧です。
外観からは見えない部分ですがリニューアルリペア加工の場合は、
強度を上げるために、この辺りも加工しますので外面のブヨブヨ感もかなり改善し、
全体的な強度アップにつながります。

ファスナーを取り外したマチ部材を裏側から見ると、
ボール紙の芯材はパキパキのボロボロです。
組み立てると見えない部分ですが放置できない状態です。
臭いものには蓋をする業者が多いですが、
マチ部材の芯材を取り外して新しい芯材に交換します。![]()
ファスナーの開閉で負担がかかる部分ですし、
マチ部材にはショルダーベルトを取り付けるパーツも縫い付けられています。
何より負担がかからないなら、ここまでボロボロになりませんね!

マチの芯材を取り外し、持ち手の付け根革部も4箇所解体しました。

内張りを取る工程で、同時に取り外したショルダーベルトを取り付けるパーツです。
こちらも予定外ですが強化加工しておきます。![]()
芯材などは使用されていませんでしたが、
見えない裏側も本革で好感の持てる作り込みです。

破損していた引手金具を再生しました。
可動部も問題なく動きます。
しかし、長年のご使用で金具類もメッキがハゲハゲ状態です。
金具類がピカピカだとバッグ全体が綺麗に見えるのですが、
本メッキ加工は外注でリスクも高く高額加工ですのでサービスできません。![]()

これも予定外ですが簡易メッキで少し改善。耐久性はありませんが気持ちの問題。![]()

すべての加工が完了しました。
付け根革が丈夫になっただけでなく取り付け部も頑丈です。![]()

革の繊維が露出していた部分も表皮を補修したあと補色しています。
持ち手の付け根もホツレがありましたので縫製しています。

透けるほど薄い布の内張りでしたが高品質な素材で作成しています。

持ち手の付け根革も4箇所とも頑丈に仕上げています。
サビが浮いていたカシメ金具も強度のある新しい金具に交換済みです。![]()

マーク金具やマーク革ワッペンもブランドらしく引き締まりました。

ビジネスで酷使するバッグですので、加工前はとても残念な状態でしたが、
今の状態でしたら街中や得意先などでもテストーニらしく活用できると思います。
とても良い品ですので丁寧に使用しながら早めのメンテナンスで、
良い状態をキープして長く愛用してほしいバッグです。
大切にご使用ください。
by レザークリエーション http://www.brand-repair.com 「大切なブランドバッグ」で検索
(お手紙紹介です)
お世話になりました。
本日、バッグを受け取りました。
昨日のうちにブログを拝見し、
充分、驚きと感動を味わっていたのですが
実物を見て、その出来映えには目を見張りました。
これは全て同じものなのでしょうか—
場所によって、新しい材料に交換されていないのでしょうか—
まさに、プロの技ですね。
機能的にも美観的にも、問題なく現役復帰し、
これからは、メンテナンスに気配りしながら
永く愛用させていただきます。
本当にありがとうございました。
宮城県 M 様
今回は予定外の加工が特に多くなってしまい悪戦苦闘しましたが、
新しいパーツに交換する作業はファスナーだけでした。
良い時代に作成されたバッグですので元の素材を再生して仕上げてあります。
愛用すると傷んでしまうのは避けようがありませんが、
大切に長くご愛用ください。




