ホワイトハウスコックスの財布です。
外周の糸は擦り切れ全体に大きく変形し擦れや色あせや汚れが見られます。
後側から見ると財布と言うよりは、ぼた餅のような雰囲気ですねぇ~
大きく変形して中央部はザラザラになるほど擦れています。
財布を開けると外面は炙ったスルメイカのような波打ち変形です。
本体の折り曲げ部も糸がホツレ、擦り切れ穴が空き、大きな変形シワも見られます。
変形、汚れ、擦れ傷などが全体的に見られ、
長年の間、毎日の酷使に耐え活躍してくれた雰囲気です。
カードポケットの変形は何枚も重ねて詰め込んだことが原因です。
小銭入れのマチは折れ込み線がわからないほどシワクチャです。
この辺りも使い方に原因があると感じています。
ここまでご覧いただいた方々は15~20年は使用されている財布と思われるでしょう。
しかし、この財布は僅か3年ほどの使用で、その頃に販売された限定モデルです。
使い方に問題があるのは閲覧されている方々も感じられると思います。
現品診断の後、買い替えなどもお勧めいたしましたが、ご家族からのプレゼントで
思い入れのある大切な財布とお聞きしましたので使用できる状態に復活させます。
メーカー修理のように傷んだパーツをすべて交換してしまえば簡単ですが、
家族からのプレゼント品とは別の物になってしまいます。
別物にするくらいなら新品に買い換えれば、もっと簡単です。
買い換えることのできない品とお聞きしていますので、
出来る限り元のパーツを残しながら加工を進めます。
汚れを取り除いた小銭入れ部のパーツですが、
シワシワのマチ革も交換はせずに強化加工を施して再利用します。
内張りの革には布が張り合わされていますが布部だけを剥がし取って交換し、
限定モデルの証である革の内張りは交換せずに再利用します。
汚れを取り除いた外面の革です。
しかし、変形、擦れ傷、穴あきなど、まだまだ課題が山積です。
3年でここまで酷使する方が大切にするより難しいように感じてしまいます。
別物の財布になってしまっても諦めがつきそうな状態ですが、
財布として活用いただける状態に外面革も復元強化加工を施します。
革パーツに張り合わされた内布や革を破かないように剥がし取り、
革パーツをそれぞれ単体にしてプレス加工してみました。
食いちぎられたような状態だったカブセの折り曲げ部は復元強化加工で再生。
ボロボロだった小銭入れの内張りや擦り切れ破れがあった布部は、
財布の耐久性も考えて新品交換してあります。
手にするだけで丈夫になっていることがわかる状態に強化していますが、
どのような加工を施すよりも大切に正しく丁寧な取り扱いが長持ちさせる秘訣です。
大切にご愛用ください。
by レザークリエーション http://www.brand-repair.com 「大切なブランドバッグ」で検索