ワニ革やトカゲ革など爬虫類の素材の加工は専門的なノウハウが必要です。
特別な素材ですので生産する工房も爬虫類の素材を扱う工房は爬虫類に特化しています。
前面の左よりのカブセの下あたりのアップ画像です。
牛革でもワニ革でもバッグや財布を作成するためには革の厚みを整える必要があります。
ワニ革などの爬虫類は革が硬いので、かなり薄く加工されているのですが、
薄く加工しすぎて画像の様に穴が空いてしまう事が生産過程でよくあります。
よ~く見て見ると穴が空いた部分に塗料を塗って誤魔化そうとした形跡があります。
左マチにも漉きヤブレが多数あります。
ワニ革には硬い甲羅の部分と伸縮する柔らかい溝の部分があり、元々の厚みや特性が違うため、
機械で均一に薄く加工すると溝の部分が漉き破れてフ割れを起こしてしまいます。
この様に穴が空いていると損傷具合が判りやすいのですが、表面的には破れていない部分も
かなり薄い状態です。
ワニ革のバッグや財布を使用していて「フ割れ」の症状が後から出る事も多いです。
正面のフ割れ補修の完了です。
このバッグはワニ革の裏面にスポンジの芯材が貼り込まれた構造でしたので
内張りを解体してスポンジとワニ革を剥がした部分に強化加工を施して再生しました。
左マチも同様の加工を施していますので頑丈です。
ワニ革など爬虫類のバッグの作成は特殊な技術と手間暇が必要で素材の取り扱いにも
細心の注意が必要なため高額商品になってしまうのも理解できるところです。
しかし、最近は驚くほど低価格な爬虫類バッグも多数出回っているのが現状です。
製品になったバッグから、どのような芯材が使用され作り上げられているか判断する事は困難です。
メーカーは牛革からワニ革に素材変更して作成するだけで高額商品になるメリットがありますが、
外観はワニ革でもワニ革バッグに施すべき加工が欠落している事が多いです。
とりあえず、フ割れ個所は復元強化加工で修復して丈夫に仕上げていますが、
全体に使用された芯材は黒い1ミリの厚みしかないスポンジですので、かなり心配です。
by レザークリエーション http://www.brand-repair.com 「大切なブランドバッグ」で検索