フェンディ ミニボストンの修理

47~48年前にハワイで購入されたフェンディのミニボストンです。
さすがに全体に損傷や劣化があり残念な状態です。

100年以上の歴史あるブランドですが日本ではフェンディを
使用されている方は少なかった頃のバッグだと思います。

ご自身で修理した痕跡がありますが付け根革は切れています。

こちらも切れた部分を修理して使用されていた痕跡があります。

ボストンバッグでは重要な部分ですがご自身で修理した痕跡があります。
この部分を修理出来るようになると、もはや職人です。

擦れていた見やすい底角には革パーツが取り付けてありますので、
ズッカ素材をガードしてくれています。

4つ角とも同様に。。。

上部の角には革パーツがありませんので擦切れて大きな穴が空いています。

こちらの角も大きな擦切れ。

4箇所とも破れていますので底角のように革パーツを取り付けます。

形状を保っている革パーツですが柔軟性が低下して紙より弱く、
指先で簡単に切断できる状態です。

本体を裏返してみました。
全体の損傷具合や素材劣化から諦めるしかないような状態ですが、
活用出来る状態にリニューアルリペア加工で復活させます。

マチの縫い合わせ部には何十箇所もホッチキスが付いたままです。

丈夫に作り込みたいという想いは伝わりますが、
この頃は感覚的にも技術的にも洗練されていない頃の作り込みで、
現在の感覚からすると雑で大雑把で素人の作品のような構造です。

反対側のマチも同様に。。。

ファスナーの取り付けや革パーツの縫製などもバラバラで、
革パーツを縫製するステッチも直線すら真っ直ぐには縫えていない時代の
バッグですので解体するには勇気が必要です。

バラバラにしてしまいました。

元のファスナーを再利用することも思案しましたが、
色褪せや汚れだけでなく金属エレメントの摩耗や腐食があり、
引き続き活用いただくには不安しかありません。

50年近く活用されたバッグですし消耗するパーツですので、
最高品質のファスナーで交換します。

ヨレヨレだった本体のズッカ布地をプレスしてみました。
現在の素材とは比べものにならない雰囲気があるだけに、
擦切れヤブレが残念です。

縫い合わせ部にテーピング加工を施し丈夫に縫製して組み立て直しました。
負担が掛かる付け根革の縫い付け部には革パーツで強化。

大きな擦切れ穴が見られた上側角にも革パーツを追加して組み立てました。

底角も同様に。。。
深みがある色で染色された革はヴィンテージ感があり似合っています。

ステッチが歪んで真っ直ぐに縫製出来ていなかった革パーツも洗練。

傷みが激しく諦めるしかない状態のバッグでしたが、
とても魅力がありリニューアルリペア加工を承りました。

無数のホッチキスで組み立てられたような作り込みで、
縫製やパーツの取り付けも緩~い基準で作成されていた頃のバッグでしたが、
出来る限り洗練度を上げながら丈夫に復活させました。

ちょっと羨ましく思えるほどの雰囲気がありカッコイイです。
使用して作成交換した革パーツに擦れや汚れが付いてくると、
ヴィンテージ感が増す楽しみがあると思います。

お手入れも施しながら大切に長くご愛用ください。

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お菓子の差し入れありがとうございました。
美味しく頂戴いたします。

オールド フェンディの再生

とても大きなフェンディのボストンバッグです。
47~48年前に海外で購入されたオールドフェンディです。

中に詰め物をして撮影していますが各部に損傷が見られます。

巨大なバッグですので底鋲は5箇所。

革パーツは経年劣化で限界を超えています。

持ち手の芯材はボール紙のような素材ですがボロボロ。

パイピングは革が無くなり芯材だけをご自身でカガリ留めされています。

カガリ留めも限界を超えて芯材が飛び出した部分も見られます。

マチの帯革もボロボロで芯材が飛び出しています。

両側マチの帯革には鉄の芯材が入れてありました。
型崩れを抑えるための芯材ですが鉄芯の角が刃物のような状態ですので、
革を突き破って損傷を与えています。

シミ汚れが見られる内張りは附属の革パーツもヨレヨレ。

黄ばんで変色した内張りにはヤブレも見られます。

4箇所とも同様に破れている原因は前後天部に入れてある鉄芯が原因。

まずは突き出た鉄芯を抜き取って怪我防止。
飛び出した鉄芯を捨てずに持っていたことも奇跡。

刃物状態の鉄芯先端を丸く加工してから芯材で包み込み再利用します。

バラバラに解体するのも一苦労。
大きすぎます。

ブランドのロゴマークですら斜めに傾いて縫い付けてあるほど、
まだまだ、洗練度が低い時代のバッグです。

ご自身でカガリ留めされていたパイピングを取り外すと、
底角は擦切れて裂けていました。

4箇所の底角とも同様に。
大きなバッグですので底角の擦れは避けようが無い損傷です。

畳より大きな革ですが牛半分の大きさで半裁サイズと言います。
ヴィンテージモデルらしさを楽しんでもらえるように選択した革です。

革にXと傷を付けても・・・

布で摩擦すると傷が目立たなくなります。
ワックス成分を染み込ませた革で耐久性があり、
何よりヴィンテージ感を楽しむことが出来ます。

今回はこの革を使用してパーツ作成します。

鉄芯でのヤブレや変色や汚れが見られた内張りを丈夫な布地で作成交換。
ヨレヨレだった革パーツも強化や作成などで改善させています。

ヴィンテージ感がある革で革パーツを作成交換してリニューアルリペア。


芯材だけになっていたパイピング革も復活。
帯革には加工した鉄芯を元通りに装着しています。

反対側も同様に。。。

ズッカ布地が裂けていた底角には革パーツを追加しましたので、
安心して活用いただけます。

ヴィンテージと呼べる年代のフェンディですので、
新品の革を使用してパーツ作成しても古さを味わえる革を使用したことが、
良い雰囲気を出していると思います。

活用して擦れ傷などが付いてくると、よりヴィンテージ感がでると
思います。

大切に長くご愛用ください。

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お菓子の差し入れありがとうございました。
美味しく頂戴いたします。

ケリーバッグのカビ

エルメスのケリーバッグです。

後面には変型が見られます。

放置するとマチやパイピングなどに悪影響がでますが、
当面はタオルなどを詰め込んで対応するとのこと。

底角は革が擦切れて大きく欠損しています。

こちらの底角も穴が空いています。
傷みやすい底角は解体して内側から強化しておくのが最善ですが、
今回は見た目を改善させる加工を選択されました。

底角だけでなく各部に表皮が剥がれた擦れが見られます。

カブセ付け根付近も擦れやすい部分です。

天部は色褪せや引っかき傷が見られます。

表皮が剥がれた状態は革が劣化しやすくなります。

マチ部材も出っ張った部分は擦れやすく表皮が剥がれています。

持ち手裏面は表皮が剥がれた部分に手の汚れが染み込んでいます。
コバ面の仕上げ直しも必要。

附属のショルダーベルトは汚れを取除きます。

外面にも各部に擦れが見られましたが本命は内側全体のカビです。
内ポケット白い部分だけが目立ちますが、よく見ると全体です。

マチも同様に。。。

底面にもカビ。

内ポケットの中もカビ。

汚れを取除きバッグを裏返しました。

内部材も汚れを取除きましたがカビのシミが全体に見られます。

マチも白い汚れを取除きましたがカビのシミは消えません。

底面も同様に。。。
カビが繁殖する心配はなくなりましたが見た目が残念ですので、
改善させます。

全体に見られたカビのシミも目立たないように改善させました。

後面も同様に。。。

マチ部材も綺麗になりました。

底面も同様に。。。

ポケットの中も改善。

裏返していた本体を元に戻して外面も加工します。

外面のクリーニングと補修補色加工の完了です。

天部の色褪せや引っかき傷も改善。

南京錠やショルダーベルトが擦れて黒くなっていた付け根革も復活。

手の脂分や汚れが擦れ部に染み込んでいた持ち手は一苦労。

カブセ付け根やマチの擦れも改善。

反対側も同様に。。。

擦切れ欠損が底角も見た目は改善。

こちらの底角も同様に。。。

HERMESの刻印も消えないように加工しています。

ショルダーの黒い汚れも取除きました。

内側全体にカビやシミ汚れが発生して持てない状態でしたが、
外面の擦れやコバ面の剥がれなども改善して再び活用いただけます。

擦切れた底角は補修補色加工で見た目を整えただけで、
強度や耐久性は改善していませんので丁寧な取り扱いが必要です。

大切に長くご愛用ください。

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シャネル変型補正


シャネルのチェーンショルダーバッグです。


キャビアスキンに特殊なメタリック塗装された素材ですので、
擦れて表皮が剥がれた部分に汚れが染み込むと黒く目立ちます。


こちらの角部も同様に。。。

前面底と後面底のラインが大きくずれていて自立しない状態です。


カブセの折り曲げ部はチェーンが擦れるので傷みやすい部分です。


こちらの大きな擦れはカブセ裏で汚れは染み込んでいませんが、
少し深い傷で目立ちます。


後面から見ると前面底が飛び出したような状態で自立しません。


マチ底の革が伸びて変型しています。


横マチも革が伸びてダブついていて底面の位置が前後で大きく違います。
ここまで底面がずれていると自立させることは困難です。


変型して伸びたマチが元に戻ることはありませんが、
自立するように改善させながら黒く変色した擦れ部を目立たなくします。


解体してマチ部材を取り外しました。


解体してもマチはヨレヨレのままです。
強化加工を施してバッグが自立するように改善させます。


解体しなければ見えない部分には製品情報が記載されています。


マチ部材を強化しながら出来る限り補正したことで自立するように改善。


ダブついていたマチを出来る限り修正しています。


反対側も同様に。。。


マチ全体を強化して丈夫になり補正したことで自立するようになり、
使いやすくなったことが最大のメリットです。


補修補色が困難な素材ですが擦れて黒くなった部分も目立たなくなりました。


メタリック塗装された特殊素材は擦れや汚れなどを改善させるのが困難で、
お手入れも難しいので慎重に取扱いながら良い状態を保つしかありません。

自立するようになり使いやすくなったことで使用頻度が増えると思いますが、
擦れや汚れに気をつけながら大切に長くご愛用ください。

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(お手紙紹介です)

お世話になっております
先ほどカバン受け取りました
この度は綺麗に修理していただき
本当にありがとうございました
雑に扱ってしまいボロボロになったので
これからはより大切に使っていきたいと思います
またお世話になろうと思いますので
その時はよろしくお願いいたします
大阪府 K 様
お受け取りのご連絡ありがとうございます。
出来る限りよい状態を保ちながら、
大切に長くご愛用ください。

宅配修理の受付日のお知らせ

長らく受付停止でご不便をお掛けして申し訳ありません。
12月15日(月)10時30分から宅配での修理受付を再開いたします。
受付日時になりましたら「お問い合わせフォーム」から、
メールにて御依頼ください。

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グルカNo5の修理

使い込まれたグルカNo5です。

ほとんど表皮が剥がれて濃い茶色の部分が少し残る程度です。

持ち手はコバ面の塗料が剥がれて革の接着も剥がれています。

使い込んだ雰囲気も楽しめるタイプのバッグですので、
擦れや汚れは気にしなければ問題ないのですが・・・

外周テーピング革が擦切れて欠損しています。

反対側も同様に。。。
本体の損傷をガードするためのテーピング革は消耗パーツと考えます。

附属のショルダーベルトを取り付ける付け根革には亀裂があり、
芯材が露出した状態です。

反対側の付け根革は革の擦切れ欠損だけでなくホツレがあります。

付け根革の上部には本体布地の擦切れがあります。
放置していると穴が広がり使用不可能になりますので対策が必要です。

バッグ後面の底部も本体布地が擦切れて大きく裂けています。

手遅れ状態と言える損傷です。

ショルダー先端革も付け根革と同じように負担が掛かるパーツです。

解体。

傷みの激しさからリニューアルリペア加工もご提案しましたが、
今回は必要最低限の加工で対応いたします。

切れた付け根革やショルダー先端革は復元強化加工を施します。

ボール紙のような芯材はボロボロです。
付け根革の擦れていない部分を見ると本来の革色がわかります。

マチ天部の革を大きく作成交換することで擦切れ穴を隠し、
付け根革の縫い付け部も強化します。

後面の大きな擦切れヤブレも放置出来ませんので大きく解体。

マチ天部の革パーツも取除きました。

後面のヤブレ部も解体して強化します。

ショルダー先端革に強化芯材を挟み込んで丈夫に復活。

持ち手のコバ面も仕上げ直しました。

マチ天部の帯革やテーピング革を作製交換しながら、
付け根革も強化芯材を入れこんで丈夫に復活させています。

刻印入りカシメ金具も元通りに復元しています。

反対側も同様に。。。

ファスナー引き手革も強化しています。

大きく裂けていた底面も強化しながら組み立て直しています。

必要最低限の加工だけでも傷みが激しく大掛かりな加工になりましたが、
引き続き活用いただける状態に復活しました。

これまで十分に活躍してくれたバッグですので、
今後は労るように大切に長くご愛用ください。

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