VUITTON Moskova M30034 ビジネスバッグです。
古い品ですが丁寧に使用されている印象です。
リニューアルリペアで各部を強化しながら長く愛用いただける状態に仕上げます。
丁寧に使用されていても底角の損傷は避けることができません。
コバの塗料はベタツキ劣化も発生しています。
前面のLV刻印マークの付近に赤い汚れが・・・・
マークの近くだけに目立ちますが古い汚れなので染み込んでいる様子です。
後面にも同様の汚れが・・・・
機能的には問題ない状態ですが錆びて変色しています。
2ブロックに分かれた構造ですのでマチも2つあります。
底角マチの縫い合わせ部はこのバッグの鬼門ですので解体して強化します。
後面の大きなポケットは便利で重宝しますが・・・・
内張りの合成皮革が劣化しているようです。
内ポケットも同様に。。。。
とても丁寧に使用されているのに時間経過だけで合成皮革は劣化します。
後ポケットを解体したところです。
内側のポケットもバラバラに。。。。
合成皮革部分は全て本革に交換してベタツキ劣化しないようにします。
ポケットを取り外した部分ですがポケットの組み立てるためには、
縫い付け部も解体しなければ裏側までステッチが出てしまいます。
底マチ部も解体して内張りの革を剥がして強化加工を施します。
元々、強化芯などは入れられていない構造ですが、
内張りの革が縫い合わせ部先端のステッチまで届いてません。
解体して正解でした。。。
金具類も取り外し、持ち手や付け根革も解体しました。
やりすぎでしょうか?
負担が掛かる付け根革は一枚革を折り曲げた構造です。
黒く細い布テープが補強のために貼り合わせてありました。
当社としては不安な構造ですので頑丈に強化します。
一枚革の裏側は繊維が荒く強度もないので、
専用の機械で取り除きました。
裏側には強化芯材と本革を貼り合わせて頑丈にします。
こちらはペンホルダーですが接着が剥がれていましたので、
強化して組み立て直しておきます。
もう一つ強化が必要な重要箇所はカブセの付け根です。
小さな補強材ですがカブセの付け根には入れられていました。
とても小さなパーツですが、あるとないとでは大違いです。
この部分も、もう少し丈夫な強化芯材に交換して強度アップさせます。
お役御免の合成皮革の内張です。
ベタ付き汚れが対面の革に色移りしていて大変でした。
サビサビの金具類も頑張って磨きます。
一気に全部磨くと手がボロボロになりますので、休憩しながらコツコツと。。。
各部の強化や内張り交換などリニューアルリペアの完了です。
付け根革も頑丈で刻印入りカシメ金具も元通り再生しています。
底マチは8箇所すべてに強化加工を施して組み立て直しています。
後ポケットの色移り汚れもなくなり本革仕様に品質アップです。
刻印付近や後面の赤い汚れも、なんとか取り除くことができました。
サビサビだった金具類も磨いておきましたので、気持ちよくご使用いただけます。
しかし、見た目の改善はともかく、2度とベタ付き劣化しない内張りや
各部の強化加工がリニューアルリペア最大のメリットです。
強度アップは写真じゃ伝わりませんが、
引き続き大切にご使用になりながら体感下さい。
by レザークリエーション http://www.brand-repair.com 「大切なブランドバッグ」で検索
(お手紙紹介です)
本日、バッグを受け取りました。
きれいに仕上げていただき、お願いしてよかったです。
さらに愛着も出て、大切に使いたいと思います。
ブログを拝見するととても丁寧に扱っていただいたことがよくわかります。
今回はいろいろとありがとうございます。
また折を見て、別のバッグの修理をお願いすることになると思いますが、
今後もよろしくお願いいたします。
東京都 A 様
お受け取りのご連絡ありがとうございます。
お見積りをお伝えした後のご返答や加工完了後のお手続きなど、
常に迅速にご対応いただいたこと誠に感謝しています。
高品質時代に作成された良いバッグですが、
何より丁寧に使用されている事で良い状態を保たれています。
今回のお預かりしたバッグのように、
大切に使い続けることは簡単なようで難しく、実行できる方は希です。
これまで同様、大切に長くご愛用ください。