ゴヤールの大きなトートバッグです。
持ち手にビニールを巻いてお送りいただきましたが・・・
既に内側には劣化したコバ塗料の色移りが数多く見られます。
外面素材の裏面がキャンバス地ですので布地を単体にはできません。
前後面とも赤い塗料汚れが複数見られますが外面素材のことを考えると、
溶剤や洗剤を使用して取除くのはリスクが高いです。
ビニールを巻いていなかったストラップもコバ塗料が劣化しています。
ストラップのコバ塗料が糸に色移りしています。
本体を挟み込むように取り付けられた持ち手は構造的に強度不足。
コバ面を見ると負担が大きく切れてきそうな部分がわかります。
必ず切れてしまう部分ですので付け根は強化します。
持ち手やストラップを取り外し、付け根部は解体して強化します。
構造的に8カ所の強化加工が必要で手間が掛かる構造です。
片側の持ち手だけベタツキ劣化したコバ面の塗料を取除きました。
ベタツキの原因が塗料の問題なのか素材の問題なのか、
接着剤などの問題なのかわかりませんが、
ベタツキ劣化したコバ塗料を取除いて仕上げ直すのが、
元の持ち手のままで施せる最大限の加工です。
持ち手付け根の強化加工とコバ面の仕上げ直しの完了です。
心配な構造ですので内外の8カ所を強化して組み立て直しています。
ストラップも一度取り外し劣化した塗料を取除いて仕上げ直しています。
赤い塗料の色移りが目立っていた内側も出来る限り改善させました。
麻や綿の素材に塗料が染み込んだ状態で外面樹脂素材と一体ですので、
数倍の時間や手間が掛かりましたが加工前よりは綺麗になりました。
素材や塗料に問題が無いとすれば保管環境が考えられますが、
ベタツキ劣化の原因を特定するのは困難です。
風通しの良い状態で保管して高温多湿を避けるだけで、
塗料のベタツキ劣化の発生を抑えるには有効です。
大切に長くご愛用ください。
by レザークリエーション http://www.brand-repair.com 「大切なブランドバッグ」で検索